NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ズーム/見えない参加者」(60点/オカルト;結構オススメ)

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■■■「ズーム/見えない参加者」■■■
(60点/オカルト;結構オススメ)


 コロナウイルスの影響でロックダウン中のイギリス。


 いつもZoomでやり取りしている5人の仲良しの少女たちは、メンバーの一人であるヘイリーの提案で、霊媒師を招待してオンラインでの「Zoom交霊会」を開催する事となる。


 霊媒師の女性をチャットルームに招き、いつものオンライン飲み会のノリで降霊会を始めた彼女たちだったが、霊媒師の指示に従って降霊を進めるうちに、奇妙な物音がしたり、家具が勝手に動いたりと各々の部屋で奇妙な現象が起こり始め、更には霊媒師との回線の接続が途切れてしまい…

 


 5人の少女たちが興味本位からZoomで霊媒師を招いて『オンライン降霊会』を開いたところ、予想外の『何者か』が呼び出されてしまい…といった感じの、オカルトホラー映画。


 最近、低予算映画の手法としてちょこちょこと見かけるようになった、オンライン通話等の『PCの画面のみ』を映して作られたタイプのオカルトホラー映画ですね。


 この手の作品って特別な技術とか撮影機材が殆ど必要ないため、お手軽に低予算で作れるのが制作者側からしたら魅力なのだと思いますが、映像の見せ方とか脚本の組み立てとかによっては恐ろしく退屈な映画にもなってしまうので、監督や製作者のセンスが問われる部分の多いジャンルだと思うのですが…


 本作は、低予算の割にはなかなかどうして意外に良く出来た良作オカルト映画って感じの作品でした。


 お話としては、『とある少女たちのグループが興味本位で霊媒師を招いてオンライン降霊会を開くんだけど、メンバーの一人がふざけて儀式を行ってしまった事から予定外の悪霊が呼び出されてしまい恐るべき事態に発展していく…』みたいな感じの展開。


 プロットそのものはありふれた感じなんだけど、演出やら怖がらせ方が上手くて非常に丁寧に作られている印象で、とにかく各シーンの『間の取り方』やら『見せ方』が上手いんですよね。


 恐怖シーンの、『さあ来るぞ来るぞ…』といった具合に盛り上げる『溜め』の作り方が良く出来ていて、予定調和的な恐怖シーンなんだけど普通に怖がらせて楽しませてくれます。


 恐怖演出も『チラっと何かが映り込む』とか『物が動く』といったお約束的な物に加えて、『見えない足跡が追いかけてきたり』とかシーンごとに色々と凝った演出が用いられており、加えて後半では意外と派手な演出なんかもあったりして観ていて飽きない作りなのも良い感じ。


 基本的には『ショッカー演出』的な驚かせ方や怖がらせ方のシーンが多いのですが、このビックリ演出もそこまで過剰じゃなくて『静と動』のバランスが取れており、非常にバランス感覚が優れたスタッフによって作られた映画という印象です。


 また、オンラインチャットらしく、唐突に画面が固まって静かになったり、メンバーの一人が離籍してる間に何かが起こったり…といった具合に『ネット通話っぽいリアルさ』があるのもなかなか良く出来ていますし、盛り上がるシーンでは犠牲者の画面がアップになったりと、なかなかにソツのない見せ方を意識した作りなのも好感触。


 ただ良く出来ているとはいっても、やはり低予算映画ですのでZoomの画面を使った特撮なんかはやっぱりショボ目でちょっと迫力不足。
 『オンラインチャットの画面』なので画像が荒くても許されるというのを上手く逆手には取っているものの、映像的には少し物足りない部分があります。


 また、ストーリーも終盤はちょっとグダグダ気味で、オチもいわゆる『投げっぱなしオチ』なので、シッカリとしたオチの無い作品が嫌いな人には不満点かも?


 あと、ラストの『ドキュメンタリー風の映像』は、アイデアは悪くないと思うのですが妙に尺が長くて間延びした印象だったので、オマケ映像を入れるならもうちょっとコンパクトにまとめた方が良かったかも…

 


 総評としましては、低予算ながらも『なかなか良く出来た良作オカルトホラー映画』といった感じの作品ですね。


 Zoomのチャット画面を使った『一発ネタ』的な印象の作品ではありますが、そういったアイデア作品的なノリが嫌いじゃなければ普通に楽しめる内容だと言えるでしょう。


 とりあえず、オカルトホラーが好きで設定とか気になるようであれば割とオススメできるレベルの、チェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。