■■■「新感染半島 ファイナル・ステージ」■■■
(70点/モンスター:オススメ)
謎のゾンビウイルスのパンデミックにより韓国が壊滅してから4年。
なんとか脱出に成功したもののパンデミックのパニックで家族を死なせてしまった元軍人のジョンソクは、亡命先の香港で荒れに荒れて廃人のような生活を送っていた。
そんなある日、彼の元に地元のマフィアから『韓国でパンデミックの際に放棄された現金輸送車から2000万ドルを持ち帰る』という仕事の依頼が舞い込む。
彼はチームとともに、文明が崩壊し封鎖された韓国へと再び訪れるが、そこはゾンビの群れが徘徊し、ゾンビだろうと人間だろうと見境なく襲う、狂気に囚われた民兵集団『631部隊』によって支配された地獄のような場所と化してしたのだった…
ゾンビパンデミックによって崩壊した韓国で、放棄された現金輸送車を盗もうとした男たちがゾンビや狂気の民兵集団と戦う事になる…という、韓国製のゾンビものモンスターホラー映画。
一応、前作である「新感染 ファイナル・エクスプレス」の正当な続編となっていますが、あまり前作とのストーリー的な繋がりとかは無いので、特に前作を観ていなくても問題のない内容となっています。
お話としては、『韓国がゾンビウイルスのパンデミックで崩壊してから4年後、パンデミックを生き残り香港に亡命した元兵士の男が地元のギャングの依頼で「放棄された現金輸送車」から現金を盗み出すために再び韓国を訪れるが、ゾンビの群れと謎の武装集団に襲われて危機一髪のところを生き残りと思しき母娘によって命を救われ…』みたいな感じの展開。
『災害やパニックによって放棄された場所から現金を盗み出す』という、どこかで聞いたような設定の、ある意味で『パニック映画の続編』のテンプレート的な作品ですが、実際の中身の方も『どこかで観たようなシーンの連発』である意味で『めちゃくちゃ既視感のあるアクションホラー映画』って感じの作品に仕上がっています。
ただ、『どこかで観たようなノリ』だからツマんないかというとそういう訳ではなく、むしろ『お手本的なレベル』で良く出来た続編に仕上がっている印象。
『正統派パニックホラー』という感じだった前作に対して、続編はアクション重視の内容になっており、ゾンビ軍団を相手にアクションを繰り広げる主人公たちの様子が非常にテンポ良く軽快に描かれています。
とにかく、制作者の『とにかく視聴者を楽しませよう』という気概が明確に感じられるアクション作品で、登場する要素も『ゾンビ軍団』に加えて『狂気に駆られて街を支配する武装集団』やらが登場。
ゾンビとの戦闘シーンに加えて、銃撃戦やらカーチェイスやらとひたすらに盛りだくさんの内容で、更にはストーリーの動きの少ない場面では『武装集団が捕虜をゾンビに襲わせる殺戮ショー』みたいなシーンも導入されたりして、一時も絶やさず視聴者を楽しませ続けようとして作られてるのが感じられるのは良い感じ。
他のゾンビ映画やらゾンビゲーム、アクション映画等へのオマージュやらリスペクトの具合も凄まじくて、特にゲームの「LEFT 4 DEAD」を意識したと思われるシーン(照明弾やら車のアラームでゾンビを集めるシーンやらラストの脱出シーン等)は、『この監督はL4Dが大好きなんだな』という事が如実に感じられて、ゲーム好きならちょっと嬉しくなってしまいます。
アクションホラー映画としてのバカ度(誉め地言葉)もなかなか高めで、『ジョン・ウィックかよ?』とツッコミを入れたくなるような主人公の超人っぷりや、「ワイルド・スピード」ばりのカーチェイスを繰り広げる小学生といった無駄に濃いキャラたちも良い味を出しています。
特に終盤の、敵武装集団とゾンビの大軍を巻き込んだ『ゾンビカーチェイス』のシーンに関しては、『このシーンのためだけに本作を観ても良いかも?』というレベルのバカさ加減と迫力で一見の価値アリ。
ただ、全体的に『非常に良く出来たアクションホラー映画』なのですが、やや不満点を挙げるとしたら『オマージュ的なノリのシーン』が多すぎるせいで、ほぼ全てのシーンが『どこかで観たようなシーン』の連発で、いま一つ目新しさが感じられないのは残念なところかも?
もう少し『本作ならではの個性』みたいなものがあっても良かったんじゃないかなぁ…
あと『前作から4年後』という設定の割には、街の荒廃度がどう見ても『文明崩壊から50年ぐらい経過してそう』な感じなのはいかがなものかと?(笑)
(まあ、文明の荒廃した「マッドマックス」的なノリを出したかったんでしょうけど…)
総評としましては、なかなか良く出来た『派手で見ごたえのあるゾンビものアクションホラー映画』って感じの作品ですね。
ゾンビもののアクション映画としては結構予算もかかってそうな内容ですし、主人公たちが『ゾンビ相手に大暴れ』するタイプの頭の悪い(誉め言葉)系の作品が観たいのであれば、普通にオススメできる一本ではないかと思います。
逆に、前作のような『正統派パニックホラー』的なノリに期待していた場合は、本作では『怖い要素は殆ど無いレベル』なので、肩透かしを食らわされてしまいそうなのは注意が必要かもしれませんよ。