NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ウィッチサマー」(65点/モンスター:オススメ)

f:id:uei_nanigashi:20210530024456j:plain

■■■「ウィッチサマー」■■■
(65点/モンスター:オススメ)


 高校生のベンは、夏休みを利用して離婚して別居中の父に会うために湖畔の田舎町を訪れる。


 そこで隣家の少年であるディロンと知り合うが、彼は『母親のアビーの様子が突然おかしくなった』と異様に怯えており、ベン自身もディロンの母親の異様な行動を目撃したことから、アビーに疑いを抱くようになっていく。


 更に数日後、ディロンが唐突に行方不明になるが、彼の父親は『ディロンの存在自体を全く覚えていない』という異様な事件が発生。


 ディロンを探すために隣家に侵入した彼は、『アビー』が魔女によって身体を乗っ取られている事に気付くが…

 


 夏休みに湖畔の田舎町に訪れた少年が、隣家の母親が魔女だと気づきその家の子供を救うために奮闘する…という、オカルト風味のモンスターホラー映画。


 特に注目作といった感じでも無かった作品ですが、なかなかどうして非常に良く出来た佳作モンスター映画って感じの作品です。


 いわゆる『魔女』を題材としたオカルトホラー映画なのですが、どちらかというと『魔女』というより『妖怪』とか『邪悪な妖精』みたいなのが題材となった、モンスターホラー映画といった感じの印象。

 (欧米は『魔女』とか『悪魔』のカテゴリーに含まれる存在が異常に広いので…)


 お話としては『とある男子高校生が夏休みを過ごすために湖畔の田舎町に訪れるんだけど、隣家の少年の母親が異様な行動を取っていることに気づき、更には少年が行方不明になるも「自分以外は少年の存在を覚えていない」という異常な事態が発生し…』みたいな感じの展開。


 実は隣人が怪物でその正体に一人の少年だけが気付くんだけど、周りの大人たちからは誰からも信じて貰えない…という、割と『青春モンスターホラー』のテンプレート的な流れのお話ですね。


 作中に登場する『魔女』の異様さがなかなか際立っており、魔女のビジュアルがもうハチャメチャに不気味で怖いのがなかなか良い感じ。


 ストーリー的には『少年がいかにして魔女と戦っていくか』といった部分がメインの展開となっているのですが、更にこの魔女が他人の『記憶』や『精神』を操作する能力まで持っており、『絡め手』まで使って攻めてくるため全く先の展開が読めないのも面白いです。


 序盤はちょっと地味な展開が続くのですが、この魔女のビジュアルの怖さやら、森に囲まれた湖畔の町の雰囲気やらが良い味を出しているため、特に退屈せずに観れる雰囲気なのも悪くありません。


 主人公や周辺のキャラの掘り下げも良く出来ており、主人公が確執を抱く別居中の父との関係やら、終盤でお話に絡んでくるヒロインとの関係性がシッカリと描かれてるのも良く出来ています。
 (まあ青春ドラマ的な要素のシーンは、若干中だるみする雰囲気もありましたが…)


 終盤の展開もなかなか熱いですし、『キレイなオチなんだけど不気味さが後を引く』ようなオチの落としどころも上手いですし、全体を通してかなりお手本的なレベルのモンスターホラー映画という感じ。


 ただ不満点を挙げるとしたら、中盤で主人公が『魔女の正体』を探る流れが『ネットでなんとなく調べる』程度で、矢鱈とアッサリしてるのは気になったところかなあ…
 もうちょっとシッカリとしたバックボーンのようなものがあった方が、怪物の存在に箔がついて良かったと思います。


 あと、終盤のちょっとした『ドンデン返し的な展開』は矢鱈と唐突な印象があったので、もうちょっとシッカリとした伏線があっても良かったかも?

 


 総評としましては、なかなか良く出来た『佳作レベルのオカルト風味のモンスターホラー映画』って感じの作品ですね。


 派手な要素は少ないのでやや物足りなさもあるものの、ティーンエイジャーが主人公のモンスターホラー映画とかが好きであれば、割とハマれる要素の多い映画だと思います。


 普通に良く出来た作品でしたので、良作オカルト映画やらモンスター映画を求めているのであればチェックしておいても損は無い一本ではないでしょうか?