NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ゾンビ津波」(55点/モンスター)

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■■■「ゾンビ津波」■■■
(55点/モンスター)


 アメリカ西海岸沖の孤島で大きな地震が発生。
 友人のレイとその娘のジェイダと共にボートで釣りに出ていた船乗りのハンターは、海底が地震の後から『奇妙な光』を放っているのを発見するが、その直後に海底から浮かび上がってきたと思われる風化した死体を吊り上げる。


 しかしその死体を船上に引き上げたところ、死体は唐突に動き出し、ジェイダが噛まれて重傷を負ってしまうという事件が発生。


 死体を海に捨てジェイダを病院に送り届けた後に、『光る海底』の原因を調査しに沖へ向かった彼らは、そこに国籍不明の貨物船が沈没しているのを発見。
 その貨物船から、大量のゾンビが湧きだしているのを目撃する。


 驚いた彼らは危険を町に知らせようとするが、折り悪く地震の影響で巨大な津波が発生。
 津波に乗ったゾンビの群れは、次々に町へと押し寄せてくるのだった…

 


 地震の影響で海底の謎の沈没船から出現したゾンビの群れが、津波に乗って港町を襲う…という、パニックもの風味のモンスターホラー映画。


 ファンの間では「シャークネード」等の製作会社としてお馴染みのB級映画を大量生産する事で有名な「Syfy」による新作で、『自然災害+モンスター』という設定からして、いかにも「シャークネード」の二匹目のドジョウ(というかゾンビ?)を狙ったような作品ですね。
 原題も「ZOMBIE TIDALWAVE」と、直球ドストレートな感じのタイトルです。


 「Syfy」の作品は製作費の予算枠によって映画の質のある程度が決まるという特徴がある訳ですが、本作は「シャークネード」の後釜的なインパクトを狙って作られた作品という事もあってか、比較的予算が使われており意外とシッカリと作られた作品という印象。


 お話としては地震の影響で沖に沈んでいた「謎の沈没船」が破壊され、内部から大量のゾンビが出現。そのゾンビたちが津波に乗って町に押し寄せて来ました』という、ホントにそれだけの内容。


 作品の目玉となっている『ゾンビ津波のシーンは割と気合を入れて作られており、『巨大な波にのって町に押し寄せてくるゾンビの群れ』の絵面のインパクトと迫力はなかなかのものです。
 (『貨物船の中に居たにしてはゾンビの人数多すぎだろ!!』とかってツッコミはありますけど…(笑))

 ゾンビ映画好きならば、割とこのシーンを見るためだけにでも映画を観る価値あり?


 ただ『ゾンビ津波』のシーンは良い感じなのですが、津波でゾンビが打ち上げられた後の展開は、普通に『ただのゾンビ映画』という感じになってしまい、ほぼ目新しさが感じられないのは困りもの。


 ゾンビのデザインが『海のもの』らしく肌が青かったりフジツボが付いてたりはするのですが、特にそれ以外に津波ゾンビ』らしい特徴がある訳でもなく、唯一津波で溺れた人』と勘違いして救護しようとした人が襲われる…みたいなギミックがある以外は津波ゾンビ』である必要性が全くないんですよね。


 でもまあ、純粋に『B級のゾンビ映画としてみると物凄く紋切型な内容ではあるものの意外と良く出来ている印象ゾンビの襲撃シーンや登場シーンも多めですし、特撮もそこそこお金がかかっていてパニックシーンも割とシッカリと作られているので、『それなりに楽しめるゾンビものパニック映画』という感じなのは悪くありません。


 登場キャラも、主人公とヒロインはシッカリとキャラが立っていますし、『災害に備えて武器を準備して引きこもっている頑固老人』やら『身勝手な憎まれ役』やら『ゾンビ発生源の秘密を知る権力者』といった、物凄いテンプレート的なキャラがテンコ盛りで登場。


 あまり捻りの効いた部分は無いものの、お話のテンポも非常に良いですし、そこそこ派手な残虐描写もあり、終盤では『ゾンビ粉砕マシーン』みたいな頭の悪い感じのネタも登場して楽しませてくれますし、ホントに『お手本的なレベルのノリの良いゾンビ映画という感じです。


 惜しむらくは、タイトルにもなっている『ゾンビ津波』の要素があまりにも少なすぎる事で、もうちょっとシッカリと『津波ゾンビ』の津波らしい個性のようなものがあればなぁ…と思わざるを得ませんでしたよ。

 どうにも、タイトルのインパクトに対して物足りなさを感じたのは残念なところでした。

 


 総評としましては、割とキチンと作られた『オーソドックスなB級ゾンビ映画って感じの作品です。


 低予算ゆえに物足りない部分も多いですが、『ゾンビ津波』のインパクトはなかなかのものがありますし、ゾンビ映画としては普通に面白い内容なので、気になっているようであればチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。


 ネタ映画としてもまあまあ楽しめる要素のある作品ですので、「シャークネード」系の『頭の悪いタイプのSyfyの新作』を求めているのであれば、割とオススメの映画ではないでしょうか?