NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「フロッグ」(70点/サスペンス:オススメ)

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■■■「フロッグ」■■■
(70点/サスペンス:オススメ)


 森に囲まれたアメリカの閑静な田舎町で、10歳と9歳の少年が失踪するという事件が発生する。


 刑事のグレッグは事件の担当として調査を開始するが、現場に残されていた『緑色のナイフ』が、かつて世間を騒がせた連続少年誘拐殺人犯のものと同じであった事からかつての事件との関係を疑うも、当時の犯人は既に逮捕されているうえに、今も刑務所で服役中である事から捜査は難航。


 一方、事件の調査を開始した直後から、彼の自宅で勝手にドアが閉じたり、奇妙な物音がしたりといった不可解な現象が相次いで発生するようになり…

 


 連続誘拐事件を調査する刑事とその一家が、次々と奇妙な現象や事件に巻き込まれつつも真相を探っていく…という、オカルト風味のサスペンススリラー映画。


 特に話題にもなっていないので完全にノーマークでしたが、これが予想外に非常に良く出来た『佳作サスペンス映画』という感じの作品でしたよ。


 いきなりのネタバレで申し訳ないですが、本作はいわゆる『ドンデン返し系』の作品で、出来ればネタバレとかを一切知らずに観た方が良い映画だとは思うのですが、ぶっちゃけ『ドンデン返し』がある事を知っていても十分に楽しめる内容だと思います。


 お話としては、『とある刑事が、かつて世間を騒がせた連続殺人犯を模倣したような連続誘拐事件を調査する事になるんだけど、調査を始めた彼の周りで不気味な現象が頻発するようになっていき…』みたいな感じの展開。


 ノリとしては『オカルト風味のサスペンス映画』って感じなのですが、雰囲気作りやら演出やらが非常に秀逸で、全体的にゆったりとした展開ながらも『不穏な空気』やら『何か起こりそうな雰囲気』が抜群に良く出ているんですよね。


 それに加えて、主人公の一家が『奥さんの不倫が原因で家庭崩壊寸前』だったりと、誘拐事件以外に人間ドラマ的にも嫌な要素が満載で、サスペンスとして良い感じに不安な気持ちや焦燥感を煽ってくれます。


 サスペンス的には、かつての殺人鬼の模倣犯と思われる『謎の連続誘拐事件』と『主人公の周辺で起こる不可解な現象』には何か関係があるのか…みたいな部分が中心としてお話が進んでいくのですが…


 このメインストーリーが良く練られていて、序盤で提示された『謎』や『不可解な現象』の秘密が紐解かれて、中盤以降の謎解きパートでキレイに一本のお話として繋がっていくという流れはなかなかに痛快。


 加えて、謎解きが始まって以降は先の読めない非常にスピーディな展開へと突入していき、前半の『雰囲気映画』的なノリから一転して、一気に『緊張感のあるスリラー映画』になっていくという構成は上手いです。


 ただ不満点を挙げるとしたら、中盤の『ドンデン返し』の切っ掛けとなる『秘密』にやや唐突感があったのと、ラストで明かされるとある人物の正体に、ちょっと蛇足っぽさがあった部分かなぁ?


 あと余談ですが、タイトルになっている「フロッグ」の正体もなかなか興味深くて、非常に面白い設定と脚本のサスペンス映画という感じでしたよ。

 


 総評としましては、なかなか良く出来た『掘り出し物的な佳作B級サスペンス映画』って感じの作品です。


 やや低予算っぽさはあるものの、映像や演出のセンスも良く脚本も非常に良く練られている感じなので、サスペンスとかスリラー映画が好きな人であれば間違いなくオススメできる一本ではないでしょうか?


 個人的には、今年観た中では一番楽しめたサスペンス映画でしたので、サスペンス好きの方にはごく普通に観ておく事をオススメしておきますよ。