NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「BAD CGI SHARKS / 電脳鮫」(40点/モンスター)

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■■■「BAD CGI SHARKS / 電脳鮫」■■■
(40点/モンスター)


 映画の製作会社で働くマシューは、ある日、面接でヘマをやらかして会社をクビになるが、そんな矢先に夢見がちで暴走癖があり周りに迷惑をかけることから絶縁状態となっていた兄のジェイソンが彼の元を訪れる。


 子供の頃に二人で書いたサメ映画の脚本を携えたジェイソンは、マシューに『この映画を二人で完成させよう』と無茶苦茶な提案をするが、その瞬間に不思議な『女神の魔法』の力によって彼らの映画の脚本が現実化。


 脚本のなかから、空飛ぶ人食いザメが『クソCGザメ』として現実世界に出現し、筋書きに従って2人を食い殺そうと襲い掛かって来てしまい…

 


 映画好きの兄弟が子供の頃に書いた脚本の『空飛ぶサメ』が魔法の力によって『クソCGザメ』として現実化して人間を襲う…という、クソCG系のモンスターホラー映画。


 なんでも、『サメの着ぐるみが部屋を歩き回って人を襲う』という超低予算のZ級のモンスター映画である「ハウスシャーク」の制作会社による新作という事で、覚悟完了しながら視聴したのですが、意外にも思ったよりもキチンと作られたコメディ系ホラー映画でしたよ。


 お話としては『サメ映画好きの二人の兄弟が、子供の頃に思い付きで作った「空飛ぶサメ」の脚本が、謎のストーリーテラー的な男の魔法によって「クソCGザメ」として現実化してしまい、二人がサメから逃れながらなんとかして事態を収拾しようと奔走する…』みたいな感じの展開。


 出現するサメは映画の中ですら『クソCGザメ』と表現されるレベルの酷い出来で、いかにもどこかの『フリー素材』と『フリーの動作モーション』を組み合わせて作っただけみたいな外見。


 このクソCGザメと対峙する主人公たちも割と無策で『走りながら逃げ回っているだけのシーン』が多くて、お話の展開も全体的にダラダラとしており、サメに人間が襲われるシーンも殆どが画面外で襲われる『イメージ映像』みたいな感じの、予想どおりのショボい完成度


 また主人公たち以外に、メインキャラとして登場してメタネタのパロディを連発する『ストーリーテラー』的なオッサンが登場するのですが、このオッサンの放つギャグも寒いですし、どこを切り取ってもいかにも超低予算のZ級というノリで、掛け値なしに酷い映画という印象の作品なのですが…


 困った(?)ことに、脚本とかテーマ性とかが意外とシッカリと作られており、これが思った以上に楽しめる内容だったりします。


 特に脚本が意外と練られており、『クソCGザメ』がCGデザイナーの力でアップグレードしてからの展開は、なかなか予想が付かずに先が読めなくて面白いですし、また『創作者としての夢を諦めない』という作品のテーマ性も非常に分かりやすくて秀逸。


 実際に、制作者が『超低予算映画でも諦めずに形にするという夢を諦めずに作ったから完成した映画なんだな…』というのが観ていて伝わってくるので、B級映画好きの人間としては何だか無駄に感動してしまいましたよ。(笑)


 オチの落としどころも上手いですし、思った以上に楽しめた作品という印象。


 ただまあ、脚本やテーマ性が意外とシッカリしてるといっても、全体的に見て『クソ映画』なのは間違いなく、楽しめる部分よりも酷い部分の方がはるかに多いですので、マトモなサメ映画を期待して見たら大火傷は間違ありません。


 個人的には、もうちょっと見せ方のセンスやらギャグやメタネタのセンスやらが良ければ、もっと楽しめる作品になったんじゃないかと思うので、その辺に関してはちょっと勿体なさを感じる作品でしたよ。

 


 総評としましては、間違いなく『Z級の超低予算クソモンスター映画』なのですが、思ったよりは楽しめる作品という印象。


 普通にサメ映画を見たい場合は全くオススメできませんが、『Z級のネタ映画』としては十分に楽しめる内容ではないでしょうか?


 ですので、とりあえず『ネタ枠』として気になるようであれば、チェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。