NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ザ・スイッチ」(65点/スラッシャー:オススメ)

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■■■「ザ・スイッチ」■■■
(65点/スラッシャー:オススメ)


 地味で真面目な性格の女子高生のミリーは、学園祭の前日の帰り道に、1970年代からこの街に潜伏していると噂される伝説の殺人鬼・ブッチャーに襲われる。


 奇妙な『古代の呪術の短剣』のようなもので刺された彼女は、なんとか軽傷で殺人鬼から逃れる事に成功するものの、翌日に目を覚ますと自分が中年男性となっており、『自分を襲った殺人鬼』と肉体が入れ替わってしまっている事に気づく。


 彼女は親友たちの助けで、『呪術の短剣』の魔力によって肉体が入れ替わってしまった事を突き止めるが、24時間以内に元の身体に戻らないと永遠に元の姿に戻れないという事が判明。


 時を同じくしてミリーの姿になった殺人鬼は、学園祭に乗じて生徒たちを虐殺する計画を進めつつあった…

 


 殺人鬼と肉体が入れ替わってしまった女子高生が、なんとかして元の身体を取り戻そうとする…という、オカルト風味のスラッシャーホラー映画。


 近年の青春スラッシャーホラー映画としては個人的に最高傑作だと思っている「ハッピー・デス・デイ」を撮ったクリストファー・ランドン監督による新作映画ですが、今回も期待に違わず非常に良く出来た作品です。


 殺人鬼と女子高生の肉体が入れ替わるという、「もしかして...」「私たち...」「入れ替わってる~!?」みたいな感じの、まるでハリウッド版「君の名は。」みたいな設定のスラッシャーホラー映画なのですが、「ハッピー・デス・デイ」も割とアニメっぽい設定の作品だったので、実際に意外とその辺から着想を得ているのかも?


 ただ設定としては、古代魔術がキーになっていたり、肉体を取り戻すのに時間制限があったりする辺り、どちらかというと「チャイルドプレイ」とかをオマージュしてる雰囲気も受ける作品ですね。


 個性的な設定の作品ですが、実際の中身の方も個性的な設定を余すことなく活用している辺りは流石という印象。


 とにかく『殺人鬼の肉体に入り込んだ女子高生』の反応やら、友達が急にオッサンになった友人とのやり取りなんかが非常に面白くて、あらゆる場面で矢鱈と笑わせてくれます。


 殺人鬼役の俳優さんの『妙に女子高生っぽい動き』やら、友人たちとのセリフ回しやらが絶妙で、シリアスなシーンでも笑いが思わずこみあげてくるのはズルいです。


 特に『憧れの男子とのロマンス』の場面では、あまりの『酷い内容(誉め言葉)』に爆笑してしましましたよ。


 だからといって、単なるドタバタ系のネタ映画かといえばそうでもなく、主人公のキャラクターや心情、家庭環境なんかもかなりシッカリと掘り下げられていたり、友人たちのキャラも割と良く立っていたりして、ドラマ的な部分も意外とキチンと作られているのは好感触。


 また、青春スラッシャーホラーとしては『学園祭の会場に殺人鬼が入り込む』という割と王道な展開で、笑いを交えながらも非常にスピーディでテンポの良いスラッシャーホラー作品になっているのは良い感じです。


 ただ全体的に非常に面白い作品なのですが、残念な部分があるとしたら『殺人鬼の暴れ回るシーン』が意外と少ない事。


 肉体の交換によって『屈強なオッサン』になった主人公に対して、殺人鬼の方は『ひ弱な女子高生の肉体』になってしまったせいでパワーダウンしてしまったという背景はあるのですが、お話のテンポの良さの濃さの割には殺害シーンが意外と少な目でちょっと物足りなさがあるんですよね。


 そのせいで、殺人鬼側のキャラがいま一つ立っていない部分が感じられ、ちょっとだけパンチの弱さを感じてしまいましたよ。


 肉体が貧弱になった部分は、「チャイルドプレイ」のチャッキーのように『肉体が貧弱になった部分は創意工夫で補って人間を殺しまくる』ぐらいのイキオイが欲しかったところです。


 あと終盤の展開は割と熱くて良かったのですが、オチに関しては続編とかにネタを引っ張れるような『もうひと捻り』があっても良かったかも?

 


 総評としましては、なかなか良く出来た『佳作クラスの青春スラッシャーホラー映画』といった感じの作品です。


 『肉体の入れ替わり』という個性的な設定が気になっている人や、『青春スラッシャーホラー映画』というジャンルが好きな人であれば、間違いなく観ておいても損は無い一本だと思いますよ。


 君の名は。」的なネタ映画としてもチェックしておいても良いと思いますので、話のネタになるような作品を求めている人にもオススメできる映画ではないでしょうか?