NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「エイリアンVSジョーズ」(3点/モンスター)

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■■■「エイリアンVSジョーズ」■■■
(3点/モンスター)


 アメリカの南カリフォルニアの海岸で、バラバラになったダイバーの死体が打ち上げられる。
 警察は、地元でウワサされる『Uボートの財宝』を狙うダイバーがサメに襲われたものと考えるが、その死体の傷口にサメの仕業とは思えない奇妙な焼け焦げたような跡を発見。


 その頃、遥か宇宙の彼方からUFOで宇宙人が来襲。
 サメが人間を襲う現場を目撃した彼らは、サメを洗脳して人間を襲うための兵器として利用できなかと画策しサメの洗脳を目論む。


 時を同じくして死体の発見者でもある精神科医のケイは、近隣の患者の間で『宇宙人とコンタクトした』という証言が異常に増えている事を知り、実際に宇宙人が地球に訪れているのではないかと疑いを抱くようになるが…

 


 サメを操って地球を侵略しようとする宇宙人と人類とサメの三つ巴の戦いを描いた、モンスターパニック映画。


 「フランケンジョーズ「ランドシャーク/丘ジョーズの逆襲」を手掛けた、Z級のトホホなクソ映画で名を知られるマーク・ポロニア監督による新作のサメ映画です。(といっても作られた時期的には旧作?)


 なんというかコレは、いつも酷い作品を撮る事で有名なポロニア監督ですが、同監督の酷い作品群を以てしても『抜群に酷い』としか言いようが無いような作品ですね。


 何が酷いって、まあとにかく内容がダルい事。


 マーク・ポロニア監督の作品って、酷い特撮映像を隠そうともせず恥ずかしげもなく全面に押し出して、かつ『物凄い分かりやすい脚本』のお陰で、『酷い出来なんだけど無駄にテンポが良い』って辺りが持ち味だったと思うのですが、本作はとにかくテンポが悪いんですよ。


 本作は『サメ映画』と言いつつも、タイトルにもあるとおりに宇宙人も登場し、どちらかというと『宇宙人が主役』みたいな扱いなのですが、宇宙人の侵略が無駄にサスペンスタッチで描かれているため、全体的に展開がちょっと遅め。


 更に、宇宙人だけならともかく『沈没したUボートの財宝を狙う無法者』みたいな連中も登場してサスペンス的な展開に絡んでくるのですが、これらのお話が非常にダラダラしてるうえに意味不明すぎて、本筋となるサメの部分がなかなか前に進まなくてイライラさせられます。


 サスペンス要素にしても、侵略SFっぽいノリの割には『宇宙人が結局なにがやりたいのか釈然としないせい』うえに肝心のサメの出番も少ないせいで、とにかく観ていてひたすらダルい


 ポロニア監督の作品って、お馬鹿ながらも直球ストレートな雰囲気の作風だから『酷い出来でも笑って楽しめた』みたいなノリだったのに、テンポが悪くて笑える部分が大幅にオミットされてしまった本作は、ホントに『もう結果だけ教えろ!』というメーカーのキャッチコピーが全てを現している映画という印象。


 ちなみに、主体が宇宙人であっても特撮やらがトホホな出来という部分は変わらず、色々とツッコミどころは満載ですのでツッコミ映画としては楽しめなくはないのですが…

 『宇宙人』は『サメ』や『モンスター』に比べると『被り物でもそれっぽく見れてしまう』せいで、特撮の酷さが目立ちにくくて『逆にインパクトが弱くなってしまっている』という、良く分からない意味でのマイナス要素になってしまっているのは困りものでした。(笑)


 マーク・ポロニア監督には、今後もZ級映画を撮る際には『視聴者から求められる要素』を正しく理解して、もっと尖った分かりやすいクソ映画を撮るように心がけていただきたいものですよ…

 


 総評としましては、いつも以上に『とにかく酷い出来のZ級モンスターホラー映画』という感じの作品ですね。


 この監督の新作を敢えて観ようとするような人に、『オススメ』も『オススメしない』も無いと思うのですが、今までの他の作品を楽しめた人であっても、ちょっと微妙な評価を付けざるを得ない作品というのが正直なところかなぁ?


 ネタ映画としても弱い内容ですので、Z級映画好きだとしても『よほどの物好き以外はスルーしてしまっても問題のない一本』かもしれませんよ…

 

 

 

 

 

■■■「アオラレ」■■■
(60点/サスペンス)

 不景気や情勢の不安から人々のストレスが増加し、煽り運転危険運転が問題となりつつあるアメリカ。

 美容師のレイチェルは、息子を学校へと送ろうと車で家を出るが大渋滞に巻き込まれて仕事にも遅刻し、大切な贔屓の顧客も失ってしまう。

 彼女は事態に狼狽しつつも渋滞を逃れるために下道に入るが、そんな矢先に信号待ちで青になっても発信しないトラックに遭遇。
 イラついた余り、前の車をクラクションを鳴らしながら乱暴に追い抜いてしまう。

 しかし更なる渋滞で追い抜いた男に追いつかれた彼女は、男から『運転マナーがなっていない』と指摘されて口論になりつつもいったんその場を離れるが、給油のために立ち寄ったガソリンスタンドで男のトラックが彼女を追跡して来ている事に気づき…


 ある女性が車に追い抜きをかけたところ、乗っていた男が思いがけずにストーカーの殺人鬼で執拗に追跡されて命を狙われる事になる…という、サスペンススリラー映画。

 「アオラレ」ってタイトルを聞くと、なんか「アオハル」的な青春映画っぽいものを連想してしまいますが、こちらの方は青春要素とかは一切ない『煽り運転』を題材としたスリラー映画となっています。

 お話としては『とある女性が信号待ちの車に無理な追い抜きを仕掛けたところ、車に乗っていた男が実は狂気の殺人鬼で執拗に付きまとわれて命を狙われることになっていく』みたいな感じの展開。

 日本でも、最近は『煽り運転』による事故とかが各所で問題になっていますが、こんな映画が作られる辺りからして、同じような問題は日本以外でも取り上げられているという感じでしょうか?(まあプロットとしては、スピルバーグの「激突!」なんかも同じテーマなので、割と使い古されたネタではあるのですが…)

 しかし「アオラレ」というタイトルを聞いて、『煽り運転のみを題材にして90分も尺がもつんだろうか?』と思いつつ鑑賞したのですが…

 実際の中身の方は『煽り運転ネタ』は2割程度で、『主人公がスマホを殺人鬼に奪われて、自分や周囲の人間が殺人鬼から狙われるのを防ぐために奔走する』みたいなのがメインのストーリーとなっており、どちらかというと『殺人ストーカーものスリラー映画』っぽいノリの作品という感じです。

 事件の契機となる『煽り運転』を切っ掛けとして、お話全体が非常に目ぐるましくジェットコースターのようにハイテンションで進行していくのが特徴で、内容的にはとにかくテンポの速いサスペンススリラー映画という印象。

 ラッセル・クロウが怪演するストーカー殺人鬼も、メチャクチャにパワフル&不気味でインパクトがあり、『こいつが本気で殺しに来たら、そりゃ勝てないよな…』という説得力がありますし、この手の映画でありがちな『完全に動機不明の殺人鬼』じゃなくて『殺人鬼が主人公を執拗に狙う理由』もそれなりに納得できる形で描かれているのは好印象。

 また、タイトルにもなっている『煽り運転』の要素は、そこまで多くないながらも、上手い具合にカーチェイス的なシーンとしてお話の中に組み込まれており、お話にアクション映画的なスピード感を出すのに成功しているのも良い感じです。

 ただ、殺人鬼の暴れ回るシーンはボリューム的に少し物足りなさがあったので、欲を言えば『殺人鬼にはもうちょっと大暴れして欲しかったかな?』というのと、ラストはちょっとアッサリしすぎな感じだったので『もうちょっと分かりやすいテーマ性とかがあった方が良かったかも?』というのが気になったところかなぁ…


 総評としましては、『なかなか良く出来たジェットコースター的ハイテンションスリラー映画』って感じの作品ですね。

 「アオラレ」という題材が気になる人やら、ハイテンポなストーカー殺人鬼的なノリの作品が好きな人であれば観ておいて損は無いかも?

 強く推すかと言われると悩ましいところですが、普通にテンポも良くて面白い内容ですので、気になる人はチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。