NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」(55点/モンスター)

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■■■「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」■■■
(55点/モンスター)


 『音を出した相手を無差別に襲う』という正体不明のエイリアンの襲撃によって、人類文明が崩壊してから474日後の世界。


 怪物の大規模な襲撃を生き延びたものの愛する夫と我が家を失ったエヴリンは、安全な場所を探すために2人の子供と幼い赤ちゃんを連れて、探索の旅へと出発する事となる。


 旅の途中で旧友のエメットと出会った彼女は、いったん彼の隠れ家で身を隠す事となるが、そこでラジオが「ビヨンド・ザ・シー」という曲を定期的に受信している事を発見。


 沖合の離島に避難している人たちからのメッセージではないかと考えた彼らは、生存者の存在を確認するために島へと向かおうとするが…

 


 『音を立てたら即死』という設定で話題となった、新機軸の『静かなホラー映画』である「クワイエット・プレイス」の続編に当たる、モンスターホラー映画。


 内容的にはほぼ前作のラストの直後のお話という感じで、『夫を失い、幼い赤ん坊と2人の子供と共に残された前作の主人公が、怪物の徘徊する世界でなんとかして生き延びようとする』という感じのストーリー。


 前作と同様に作品の雰囲気や世界観は非常に良い作品で、全編を通して殆ど音のしない『静』の場面の緊張感と、怪物が暴れ回り迫力と恐怖を感じさせる『動』の場面の緩急のバランスも良く、独特の空気感を持ったモンスターホラー映画に仕上がっています。


 また怪物のデザインも不気味で秀逸ですが、ちょっと見慣れてしまったせいもあって1作目に比べるとちょっとインパクトが薄くなった印象。
 せっかくの続編なんだから、より恐ろしい『新種の怪物』とかも登場させて欲しかったです。


 ただ1作目同様に雰囲気は良いのですが、あいかわらず『怪物の襲撃によって何で人類がここまでピンチに晒されているか』とか『世界の他の地域はどうなっているか』とか『怪物の正体』とかの世界設定の補足みたいなものは殆ど無くて、設定に関してはゆるゆるの部分が多いですね。


 やはり、たいして強くも無いこの怪物(戦車やヘリに勝てる気がしない)に人類が制圧されているのは不自然だし、本作で『海を泳げない』という新たな弱点も判明したので、いよいよ『何で人類が反撃できてないんだろう?』という疑問が…


 まあ、あまり細かい事を気にせずに『世界観や雰囲気を楽しむ映画』だということなのでしょうが、後付け設定でも良いのでもうちょっと何らかのの補足はあっても良かった気がします。


 また、お話的には1作目は『妻が出産を控えた一家が生き残りを賭けて戦う』みたいな展開でしたが、2作目の本作は『主人公たちが新天地を求めて旅立つ』という感じの展開になっており、ロードムービー的な雰囲気』が加わった事で閉塞感があまり無くなって、逆に世界観の広がりを感じさせる内容になっているのは、作風に変化が感じられて面白いです。


 ただ、文明崩壊後の世界が『酷い世界になっている』みたいなセリフが出てくるものの、そこまで『酷い世界』という雰囲気は感じられずにいま一つ悲壮感が無かった(一応、略奪者っぽい連中に襲われるシーンはあるけど)ので、もうちょっと世紀末っぽい無法地帯的な雰囲気はあっても良かったかも?


 また、主人公の子供たちの『成長』をテーマとして描くシナリオやら、終盤の展開なんかはなかなか熱かったですが、ラストが矢鱈と唐突でブツ切り感があったのは何か気になるところ。


 なんとなく続編に続きそうな雰囲気があったので、実は既に続編が計画されていたりするのかしらん?

 


 総評としましては、相変わらず『独特の世界観と雰囲気の良く出来たモンスターホラー映画』って感じの作品ですね。


 前作が好きだった人であれば本作も問題なく楽しめると思いますし、世界観の広がりを感じさせる内容で普通に良作という印象。
 ただし前作でツッコミどころだった部分は、本作でもツッコミどころのまま(「畑の管理どうしてるんだ?」みたいなのは無くなったので、少しだけツッコミどころが減った)なので、その辺が気になる人は今回も気になるかも?


 まあ普通に面白い新機軸のモンスター映画のシリーズですので、モンスター映画好きならばオススメできますし、今後もシリーズ化していって欲しい一本ではありますよ。