NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ジャングル・ツアーズ」(35点/モンスター)

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■■■「ジャングル・ツアーズ」■■■
(35点/モンスター)


 ブラジルのアマゾン奥地で、森林開発を行っていたオルテク産業の従業員たちと、開発に帯同していた考古学者のキーリン教授が行方不明になるという事件が発生。


 教授の娘であるアマンダは、弟のスコット、開発事業者のベラと共に行方不明となった開発チームの捜索に赴く事となる。


 開発チームのキャンプでキーリン教授の日誌を発見した彼らは、チームがセム・サイーダと呼ばれる場所に向かった事と、彼らの行方不明に『ジャングルの心臓』と呼ばれる巨大なエメラルドとそれにまつわる伝説が関わっている事を知るが、アマゾンの奥地に向かう彼らの行く手を様々なジャングルの脅威が阻むのだった…

 


 ジャングルの奥地で行方不明になった考古学者たちを探す捜索チームが、様々なジャングルの脅威や伝説の怪物に遭遇する…という、パニックもの風味のモンスターホラー映画。


 パクリ・便乗映画でお馴染みのASYLUMによる新作で、同時期にビデオリリースされた「ジャングル・クルーズ」の便乗作品だと思われますが、生憎ながら自分はオリジナルの「ジャングル・クルーズ」の方を見ていないので、どの程度の便乗した内容なのかは良くわかりません。


 ちなみに本作は、ブラジルに棲息すると言われているUMAである『クルピラ』を題材とした作品なのですが、オリジナルの「ジャングル・クルーズ」の方ではクルピラは登場しないっぽいので、あまりパクリというような内容でもないかも?
 (というか『クルピラ』なんて名前、藤岡弘探検隊ぶりに久しぶりに聞いたよ…)


 お話としては『アマゾンの奥地で行方不明になった考古学者の父親の救助に向かった娘たちが、危険な生物やら原住民やらアマゾンの脅威に次々と遭遇する』という、ホントにそれだけのストーリー。


 というか、『ストーリーと呼べるほどの内容が存在すると言って良いのか?』と疑問を呈したくなるぐらいの支離滅裂な内容です。


 主人公たちが行方不明の開発チームと父親を追ううちに、事件には伝説の怪物『クルピラ』と『ジャングルの心臓』と呼ばれる巨大なエメラルドが関わっているという事が判明していく…みたいな流れなのですが、この『クルピラ』たちがお話にどう関わっているのかが、説明不足すぎて全く判然としません。


 良く分からないまま父たちの足跡を追う主人公が、良く分からないままに様々な自然の脅威やら原住民やらに襲われるみたいな流れで、観ていてとにかく釈然としないままにお話が進んでいくという印象です。


 主人公を襲う脅威も『ヤドクガエルの集団』が噛みついて人間を襲ってきたり(カエルなのに牙に毒があるらしい…)、異常に狂暴な『ピラニアの群れ』が船を沈没させたり、クロコダイルにしか見えない『巨大なカイマンの群れ』が襲撃してきたり、特に何の説明もなく『人間ほどもある巨大グモ』が襲ってきたりと、アマゾンの生態系を良く知らない人が見ても『そんな訳あるかい!!』と言いたくなるような、かなりハチャメチャな展開。


 しかも、次々と怪物やらの脅威が登場してテンポは良い筈なのに、怪物の襲撃に脈絡が無くお話も支離滅裂すぎるせいで、物凄く冗長で長い映画に感じてしまうのは困りもの。


 襲撃に関しても、てっきり『クルピラの影響で生物が狂暴化している』みたいな設定でもあるのかと思いきや特にそういう訳でも無さそうで、『とりあえず怪物に人間を襲わせておこう』みたいなノリで次々と怪物が襲撃してきているっぽくて、『いやいや、どこの異世界のアマゾンの奥地だよヤバすぎるだろ!!』という感想しか出て来ません。(というか父親や開発チームは、こんなヤバい場所でよく今まで無事だったよな…)


 父の行方不明と『クルピラ』と『ジャングルの心臓』の関連性も、思わせぶりに何度も出てくる割にはラストまで何の説明もなくて、結局なにが原因だったのか意味不明。


 滅茶苦茶ネタバレになりますが、ラストも『クルピラを封印するためにジャングルの心臓を破壊する』みたいな流れになるものの、『実はジャングルの心臓はクルピラの力を封印したものでクルピラは力を取り戻しました』みたいな『オチてるんだかオチてないんだか良く分からないような投げっぱなしな終わり方』で、本気で何が言いたいんだか判然としないお話でしたよ…
 (というか、教授も原住民たちも結局なにがしたかったの?)


 ちなみに余談ですが、『クルピラ』というと確か『小人のようなUMA』という設定だったと思うのですが、本作でのクルピラは『身の丈3m程度のアメコミに登場しそうなガチムチの怪物』だったので、もし『クルピラ』要素に期待してる人が居ても、なんかイメージと違い過ぎてガッカリするかもしれませんので要注意です。(そんな人が居るのかは不明ですが…)

 


 総評としましては、ジャングルを舞台とした『微妙で支離滅裂な内容のモンスターパニック映画』って感じの作品ですね。


 あまり推すような要素もありませんし、無駄に冗長に感じてしまう内容なので正直オススメは出来かねる作品かなぁ?


 いつもの『ダメな方のASYLUM映画』という感じの内容ですので、よほどのクソ映画好きの好事家でもなければ普通にスルーしてしまって問題の無い一本ではないかと…