■■■「呪われた老人の館」■■■
(55点/オカルト)
70歳の誕生日に脳卒中で倒れたジュディスは、家族に迷惑をかけないためにゴールデン・サンマナー養護施設という由緒ある介護施設に入居する事となる。
入居して間もなく、他の入居者の不自然な行動やルームメイトの『彼が私たちが眠るのを監視してる』という奇妙な言葉にはじまり、深夜に居ないはずの人物の人影を部屋の中で目撃したりといった事件が発生。
彼女自身の周りでも、現実か幻覚か分からないような不気味な事件が続発するようになる。
奇妙な行動を起こした老人が次々と亡くなっていることから、彼女はこの施設には『老人の寿命を吸い取る何者か』が存在しているのではないかと疑いを抱くようになるが、医者からはアルツハイマーにともなう認知症と診断されたうえに、家族にも見捨てられてしまい…
介護施設に入居することとなった女性が『老人の命を狙う謎の存在』と対峙することになる…という、オカルト風味のサスペンスホラー映画。
Amazonのプライムビデオで公開されている、アマゾンスタジオによる独占配信のオリジナルホラー映画なのですが、製作は佳作スリラーやホラー作品でおなじみの『ブラムハウス』によるものとなっており、そこらへんのB級ホラーよりもシッカリと作られた作品となっています。
お話としては、主人公が養護施設に出現する『老人の命を吸い取る謎の存在』によって命を狙われることになり怪物の存在を周りに主張するのですが、周囲は『痴呆老人の妄想』だと考えられてとりあって貰えないというお話の展開は、なかなかに皮肉が効いた怖い設定という感じですね。
実際にアルツハイマーで要介護状態となった方が周囲に居たり、自分自身がそういう『現実か妄想か区別がつかない』ような状態になった事があったりして身近な問題と感じるような人には、結構ゾッとするような設定という印象です。
ただ設定やらプロットは面白いのですが、それがホラー映画としての怖さや本作の面白さに直結しているかと言われると微妙なところ。
全体的に序盤の恐怖演出の雰囲気作りがイマイチで、主人公の疎外感や孤立感もそこまで上手く描かれておらず、恐怖演出が『矢鱈と大きな音で驚かせるショッカー演出』を連発するせいで、どうにも安っぽい印象で盛り上がりに欠けます。
作品の方向性的には、もっと『ジットリとした感じの演出』の方が良かったんじゃないかなぁ?
お話が本格的に動き出すまでも割と尺が長めで、どうにもテンポが悪く感じてしまう部分が多いのも残念なところ。
謎解きが核心に迫ってからの展開は割と面白いのですが、謎が明らかになっていくプロセスがややアッサリしすぎてて盛り上がりに欠ける印象があったので、中盤の手がかりやヒントの出し方はもうちょっと丁寧でも良かったかも?
あと、ちょっとネタバレになりますが、ラストで登場する怪物がいま一つパンチの弱い感じで残念だったので、お話の設定的にはもっと『異形』感のあるデザインの方が良かった気がしますよ。
総評としましては、『普通に楽しめるレベルのオカルトサスペンス映画』って感じの作品ですね。
手堅く作られた内容だとは思うのですが、『老人痴呆』という濃い目の題材ある設定の割には内容が普通すぎて、ちょっと作品自体の印象は弱くなってしまった感じかなぁ?
まあAmazonプライムビデオの会員の方であれば無料で観られる作品ですし、ブラムハウスの製作という事で興味があるような方はチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。