NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「RUN/ラン」(60点/サスペンス:結構オススメ)

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■■■「RUN/ラン」■■■
(60点/サスペンス:結構オススメ)


 郊外の一軒家で母と共に暮らす少女・クロエは、生まれた時から様々な病気を患い、家から一歩も出られずに車いすでの生活を余儀なくされていた。


 そんな病弱な彼女だったが、大学への進学を目標に勉強し進学を契機に自立しようと努力を続けていたが、ある日を境に母親が自分の自立を妨害しようとしているかのような不信感を抱くようになっていく。


 そんなある日、母親が『新しい薬』だと言って差し出した緑色のカプセルの薬に違和感を感じた彼女が薬の正体を調べたところ、人間用ではない『人間の足を麻痺させる効果のある薬』だと判明。


 母親の態度に恐怖を感じた彼女は、なんとかして母親のもとから逃げ出そうと試みるが…

 


 娘を騙して軟禁しつづけようとする歪んだ愛情を持つ母親と、その母の元から逃げ出そうとする少女との戦いを描いた、監禁ホラー風味のサイコサスペンス映画。


 『自宅から出る事もできないような病弱な少女は、実は異常に過保護な母親によって薬物によって弱らされて軟禁されていました』という設定の、サイコホラー系のサスペンス映画ですね。


 『異常に過保護な家族』を描いたサスペンス映画というのは、そこまで珍しいジャンルでも無いですが、薬を飲まされて病弱だと騙されていた少女が真実に気付くというプロットはあまり割と珍しいパターンかも?


 お話の構成としては、娘が『自分が飲まされていた薬』の秘密に気付くまでの前半パートと、『母親に隠された秘密』が判明する後半パートで作られているのですが、後半パートの母親の狂気具合と暴走っぷりはなかなか怖くて良い感じ。


 ドラマとしても、母親が歪んだ愛情を持つようになったプロセスなんかがかなり丁寧に掘り下げられており、娘との親子の関係性がしっかりと描かれているのは良いですね。


 サイコサスペンス的な構図ではありますが、『自分勝手な歪んだ愛情を押し付けようとする母親』と『母から独立しようとする娘』との家族ドラマのカリカチュア的な構図になっているのも、なかなか面白いです。


 ただ、後半部分に関してショッキングなうえに非常にテンポも良くて楽しめる展開が多いのですが、前半部分に関してはちょっと冗長で退屈に感じる部分が多いのは気になるところ。


 『温厚そうな母親が実は狂気に囚われていた』というギャップを狙ったのかもしれませんが、もうちょっと『ジワジワと母親の狂気を感じさせるような演出』的なものがあっても良かった気はします。


 ラストの展開もなかなかパンチが効いてて良かったですし、もう一押しあれば名作になりえたと思うので、ちょっと勿体なさを感じる作品でしたよ…

 


 総評としましては、割と良く出来た『佳作レベルのサイコサスペンス風味のスリラー映画』って感じの作品ですね。


 設定やら予告の内容やらで気になっている場合は、期待に沿えるレベルでは楽しめる映画だと思いますので、チェックしておいても損は無いと思います。


 狂気具合とかに期待してるとちょっと物足りなさを感じるかもしれませんが、普通に面白いサスペンス映画でしたので、その手のジャンルが好きな人であれば結構オススメできる一本ではないでしょうか?