■■■「サタニックパニック」■■■
(55点/オカルト)
歌手を目指すも金欠のあえぐサムは、ピザの配達のバイトをはじめる事となる。
しかし、配達地域は貧困地域ばかりでチップすら全くもらえず、配達用のバイクのガソリンすら購入できない始末。
そんな最中、とある豪邸に配達を行う事となった彼女はチップに期待するが、受け取りに現れたのは異常に不愛想な男性であいかわらずチップは貰えずバイクはガス欠でエンストしてしまう。
せめてガソリン代だけでも出して貰おうと豪邸に忍び込んだ彼女だったが、そこで行われていたのは悪魔崇拝者たちによる集会で、侵入が見つかった彼女は悪魔召喚のための生贄として捕らえられてしまい…
ピザ配達員の女性が豪邸に配達に訪れたところ、そこは悪魔崇拝者の集会所で儀式の生贄として捕らえられてしまい…という感じの、ブラックユーモア系のコメディホラー映画。
ホラー雑誌として有名なFANGORIAによって製作された作品らしく、いかにもFANGORIAといった感じの色々な意味で濃い内容の作品となっています。
何が濃いって、まあとにかく登場人物たち全員のキャラが物凄く濃い。
主人公が最初に対峙する悪魔崇拝者からして、『股間に巨大なドリルを付けた殺人狂信者』という塩梅で、もはや色んな意味で尖り過ぎな印象。
他の悪魔崇拝者の幹部連中も物凄く濃い面目が勢ぞろいしており、あまりの特濃具合にしょっぱなから胸やけを起こしそうになるレベルです。
そういった非常に濃い面々が、主人公を生贄として捕えようと次々と襲い掛かってくるという展開は、まさに『悪趣味ホラー好きのためのブラックユーモア系コメディ映画』という感じで、割り切ったうえに色々と振り切った内容でなかなか面白いです。
悪魔崇拝者が主人公を捕らえるために行使する魔術も個性的で面白いですし、それに対抗しようとする主人公たちとの戦いが『個性の強すぎる魔術異能バトル』という感じで、予想できない展開の連発で楽しませてくれます。
ただ、『濃い方向に振り切ったコメディホラー』という感じで面白い作品ではあるのですが、難点を言うと色んな意味で『濃すぎる』のが観る人を選びそうな印象。
普通の邪教もののオカルトホラー的なノリを期待してると『なんじゃコリャ?』となってしまいそうですし、そもそもお話が突飛すぎてオカルトなのに全く怖くありません。(まあ、そもそもコメディ系の作品なので怖くなくても構わないのですが…)
あとキャラが濃いのは良いのですが、邪教集団内での内ゲバ的なネタのシーンが多いため、お話がなかなか進まなくてテンポの悪さを感じる部分があるのは難点かなぁ?
オチに関しても『捻りが効いてて面白い』といえば面白いのですが、ちょっと唐突感が強いオチになっているので賛否両論ありそうな印象。
個人的には、もうちょっと分かりやすくカタルシスのあるオチにしてくれた方が良かったかなぁ?
総評としましては、良い意味でも悪い意味でも『色々と濃い内容のコメディ系オカルトホラー映画』という感じ。
悪趣味なお馬鹿系映画とか、やりすぎスプラッタ系の作品とかが好きな人であれば割と楽しめる内容だと思いますので、そういうジャンルが気になるようであればチェックしておいても損は無い一本だと思います。
ただコメディといっても、FANGORIAらしくグロ描写とかは強めでホラーマニア以外の人種の方が『気軽に笑い飛ばす』系の映画ではないので、その辺は要注意かもしれませんよ。