NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ライトハウス」(55点/サスペンス)

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■■■「ライトハウス」■■■
(55点/サスペンス)


 1890年代のアメリカ。
 ニューイングランドの小さな孤島の灯台に、新人の若者であるウィンズローが派遣されてくる。


 ベテラン灯台守であるトーマスと2人きりで、4週間の任期を灯台小屋で過ごすこととなった彼は、迷信深い老人であるトーマスとの折り合いが悪く、ぎこちない関係ながらも粛々と仕事をこなしていた。


 しかし、4週間後の任期の最終日に巨大な嵐が彼らの灯台を直撃。
 孤島は完全に孤立状態になってしまったうえに、次の連絡船の到着がいつになるか分からない事が判明し…

 


 孤島で灯台守として2人きりで過ごす事となった若者と老人が、世間から隔絶された場所で極限状態を経て徐々に精神を病んでいく…という、サイコサスペンス映画。


 「ミッドサマー」で有名になったA24スタジオ製作による、いわゆる雰囲気映画系のサイコサスペンス映画ですね。


 なかなか『独特の演出』にこだわった作品という印象で、全編が白黒映像のうえにTVサイズ(3:4)の画角で撮影されおり、白黒のコントラストを意識した絵作りがされていたりとか、そこかしこに異様な世界観とか空気感が醸し出されているのが特徴です。


 お話の中身に関しても、『船乗りたちの迷信』やら『人魚伝説』やら『主人公の見る悪夢』やらの幻想的なテイストを絡めつつ、何が現実で何が虚構で妄想なのか分からなくなっていくというような展開。


 視聴者側も狂っているのは主人公なのか同僚の老人なのか、どこまでが現実でどこからが妄想なのかが判断に迷うような構成で、主人公と一緒に徐々に狂気の世界に導かれていくというような構成は悪くない印象です。


 ただ、サイコサスペンスのプロットとしては悪くないのですが、全体的に展開が遅くて妙に冗長に感じてしまう部分が多いのは残念なところ。


 特にお話の動き出すまでの前半の部分がちょっと退屈で、たいした事件も起こらないうえに盛り上がるような要素もなく、主人公たちのキャラの掘り下げとしても妙にまったりした感じなので、どうせ狂気を描く作品ならば最初からもっと不安を煽るような演出をガンガンと取り入れて欲しかったです。


 終盤も割と観る人に解釈をゆだねる系の展開なのですが、オチとかも投げっぱなし気味な終わり方のため、人によって評価が割れそうなのは気になったところかなぁ?


 なんというか、全体を通して狂気系とサスペンス系のどちらにもなり切れていない雰囲気があったのは残念なところでしたよ…

 


 総評としましては、雰囲気映画テイストの『狂気系サイコサスペンス映画』って感じの作品ですね。


 全体的に悪くは無いんですが、狂気系とか電波系作品としてはちょっとパンチが弱い部分があるため、オススメするにはやや弱い印象。


 独特の雰囲気系の作品ですので、設定とかテイストとかが気になるようであればとりあえずチェックしてみても良い感じの一本ではないかと思いますよ。