■■■「スパイラル:ソウ オールリセット」■■■
(50点/サスペンス)
地下鉄の線路上で、舌を金具で固定され吊るされた警官が列車に轢かれて殺されるという事件が発生する。
犯人から警察に送られたビデオから、警察に恨みを持つ何者かが『ジグソウ』を模倣し悪徳警官を狙って起こした猟奇殺人事件だと判明。
一匹狼として知られるベテラン刑事のジークは新人のウィリアムと共にこの事件を捜査する事となるが、警察署を挙げての懸命な捜査にも関わらず、次々と汚職を起こした刑事たちが犠牲者となっていく。
やがて犯人の魔手は、引退した伝説の警官でジークの父親であるマーカスにもおよび…
『ジグソウ』を模倣し汚職警官をターゲットとした連続猟奇殺人鬼と、それを追うベテラン&新人刑事の戦いを描いた、サスペンススリラー映画。
人気サスペンススリラーである「ソウ」の新シリーズの1作目に当たる内容で、前作の「ソウ6」とは違って時系列的にもキチンとした続編に当たる作品です。
ただ正統な新シリーズではあるのですが、なんというか微妙な出来の新作というのが正直な感想ですね。
お話としては『汚職警官ばかりを次々と狙うジグソウの模倣犯が出現し、警官たちを「死のゲーム」によって殺害。警察は懸命に犯人の捜査を続けるも犯人の正体はようとして掴めず…』という感じの展開。
今までのシリーズは『法で裁けない罪を犯した人間』がジグソウのターゲットだったものが、本作では『権力を笠に着て市民を犠牲にした警官』がターゲットとなっているのですが、『警官』がターゲットとなったせいで事件がどうにも他人事のような印象になってしまい、感情移入度が低くなってしまった感があるのは微妙なところ。
また新たな殺人鬼である『ジグソウの模倣犯』も、独自の思想や哲学を持ったジグソウと違って私怨に走っている印象が強くて、いま一つ魅力が感じられません。
しかしお話のテンポ自体は非常に良く、手がかりの提示や謎解きもサクサクと進んでいくので、サスペンスとしてはそこそこ観れるレベルにはなっている印象。
ただ「ソウ」と言えば『ドンデン返し的なお話のギミック』がお約束なのですが、今回は少しでもミステリーが好きな人ならば、中盤ぐらいで割と容易に犯人が予想出来てしまいそうな感じで、ちょっと驚きや面白味に欠けるんですよね。
犯人の正体や目的に関しては、もうひと捻りぐらいあっても良かったんじゃないかなぁ?
あと「ソウ」の最大の見どころといえば、やはり『殺人トラップ』なのですが、7作目ともなると『殺人トラップ』もややネタ切れ気味なのか、そこまで面白味があるものがあまりなくて、全体的にどうにも盛り上がりに欠ける感じ。
『殺人トラップ』のギミックだけでも、もっと気合を入れて作っていてくれればもうちょっと盛り上がったと思うんですけどねぇ…
ちなみに一応、続編に続くという感じで終わっては居るのですが、個人的には『この出来ならもう続編は観なくてもいいかな?』という感じだったので、新シリーズの1作目としてはどうにも残念な出来の作品という感じでしたよ。
総評としましては、ツマンなくは無いんだけど『微妙に盛り上がりに欠ける「ソウ」シリーズの最新作』というのが正直なところ。
前作の「ソウ6」は割と面白かったので、あれぐらい気合の入った作りを期待していたのですが、正直に言ってちょっと肩透かしを喰らった印象でした。
まあシリーズを好きで6作目まで付き合ったような人であれば、『新シリーズのスタートとなる作品』という事でチェックしてみても良いかもしれませんが、急がないのであれば『サブスクリプション系のサービスで観れるようになってからチェックすれば十分かな?』って感じの新作でしたよ。