■■■「レリック 遺物」■■■
(35点/サスペンス)
森に囲まれた一軒家で一人暮らしする老女のエドナが行方不明になるという事件が発生する。
警察から通報を受けた彼女の娘のケイと孫のサムがエドナの家へと向かい状況を確認すると、既に10日近く行方をくらませている事が判明。
エドナを探すために警察と共に捜索を開始するが、その翌日に何事も無かったかのようにエドナは帰宅してきてしまう。
エドナが重度の認知症にかかっているのでは無いかと考えたケイたちは、ひとまず様子を見るためにエドナの家で一緒に暮らす事となるが、エドナは単なる認知症ではなくもっと恐ろしい『別の何か』へと変貌しているとして思えないような異常な現象が発生していき…
行方不明になった祖母が『別の何者か』になって戻ってくるという恐怖を描いた、オカルト風味のサスペンスホラー映画。
いわゆる『乗っ取り系のホラー映画』的な設定のお話なのですが、どちらかと『乗っ取りもの』というより『雰囲気映画系のオカルトホラー』的なテイストの強い作品となっています。
お話としては、『祖母が行方不明になった家族が、行方を捜すために彼女の家に逗留することになるんだけど、祖母には認知症の疑いがあり、さらに帰ってきた彼女は以前とは別人のように変わってしまっており…』みたいな感じの展開。
テイストとしては雰囲気重視のゆっくりとしたノリの作品となっており、森の中の祖母の暮らすどこか寂れた一軒家の異様な雰囲気やら、『何か悪いことが起こりそうな予感』を感じさせるテイストやらは、なかなか良くできています。
また『別人のように変わってしまった祖母』に関しても、『人体乗っ取り』的な怖さというよりも認知症によって『知っている人が別人のように変わってしまう』という怖さのメタファー的な要素として上手く描かれている印象。
そんな感じで雰囲気映画としては悪くないのですが、どうにも全体的に『物凄く展開が遅い』のは困りもの。
作中はずっと『何か悪いことが起こりそうな予感』を漂わせるような雰囲気がかもしだされているのですが、雰囲気だけで何も起こらないシーンが多すぎです。
終盤になるとなかなか怖い展開があったりするのですが、そこに到達するまでが物凄く長くて、観ていて途中でダレてきてしまいます。
ややネタバレになってしまいますが、祖母を乗っ取った(?)何者かに関しても、いまひとつハッキリとした説明が無くて、最後まで良く分からないままですし、終盤の展開もテンポは良いものの全体的に説明不足で『何が起こってるのか判然としないシーン』が妙に多いんですよね。
ラストのオチも何が言いたいのか良く分かりませんでしたし、テンポの悪さも加えてどうにも釈然としない気分のただよう作品でしたよ…(タイトルの『レリック(遺物)』って結局は何のことなの?)
総評としましては、いまひとつ物足りなさの残る『雰囲気系の低予算オカルト映画』って感じの作品ですね。
雰囲気映画としては悪くないのですが、どうにもテンポが悪くてダレるシーンが多くカタルシスも薄いため、ちょっとオススメはし辛い内容だなぁ…というのが正直なところ。
『独居老人の住む古びた屋敷に漂う不気味な雰囲気』やら『悪いことの起こりそうな予感』といった部分はなかなか良く出来ているので、そういう部分が好みであれば『まあお好みで…』といった感じの作品でしょうか?