■■■「キラー・ジーンズ」■■■
(55点/モンスター)
人気アパレルメーカーであるCCCは、遺伝子組み換えの最新素材を用いた『誰の身体にでもフィットするジーンズ』を開発。
新入社員のリビーを含めた店員たちは、翌日の商品の発表と発売を控えてその準備に追われていた。
しかし作業中に従業員の2名が姿を消したことからリビーが探しに向かったところ、無残に殺害された姿で発見されるという事件が発生。
明日発売される新商品の情報を隠すためにオーナーは事件を隠蔽しようとするが、実は事件は遺伝子操作によって生まれた『殺人ジーンズ』によるもので、『殺人ジーンズ』は新たな犠牲者を求めて次々と人間に襲い掛かっていくのだった…
自分で動き回って人間を喰らう『殺人ジーンズ』の恐怖を描いた、ブラックユーモア系のモンスターホラー映画。
「キラー・トマト」とか「キラー・コンドーム」とか、今までも色々な『キラー・〇〇』というネタの映画が作られてきたB級映画業界ですが、今回は新たに『殺人ジーンズ』が登場したようです。
お話としては『とあるアパレルメーカーが遺伝子操作による新素材でジーンズを開発したところ、自分で動き回って人間を襲う「殺人ジーンズ」が誕生してしまいました』という、一発ネタ的な設定のモンスターホラー映画で新商品の発売準備に追われる店員たちが次々と殺人ジーンズに襲われていく』という、ホントにそれだけのストーリーという感じ。
この殺人ジーンズが意外と芸達者で、単純に『ジーンズを履いた人間を食い殺す』だけじゃなくて、両足で人間を絞め殺したり、ジッパーで人間の身体を切断したりと様々な殺害パターンで楽しませてくれるのは良い感じ。
また、『下半身だけの透明人間』みたいな状態で歩き回ったりする姿もなんだかシュールで可愛くて、モンスターとして良い感じにキャラが立っているのも良く出来ています。
ストーリー的には『殺人ジーンズ』というワンアイデアのみで作られた映画という感じであまり凝った部分とかは無いのですが、殺人ジーンズを開発したアパレルブランドが、社員を熱狂的な演説で洗脳していたり、労働基準法を無視して下請けをコキ使ってたりと、いかにもブラック企業っぽい描かれ方をしており、ブラック企業を題材としたブラックユーモア的なノリが随所に感じられるのは、風刺が効いていてなかなか面白いですね。
(ファストファッション業界って、何かとブラックなウワサの絶えない感じの業界ですし…)
ただ、殺人ジーンズのアイデアやらそういった小ネタやらは良い感じなのですが、映画そのものはやや冗長な感じの内容なのは残念なところ。
序盤はブラックな小ネタやら殺人ジーンズの襲撃やらでテンポ良く楽しませてくれるのですが、中盤の『殺人ジーンズの秘密』みたいなのが明かされるあたりから、いまひとつテンポが悪い感じになってしまい、どうにもダラダラして中だるみしてる感があるんですよね。
映画の設定やら内容がお馬鹿系&ブラックなネタがメインなだけに、全体的にもうちょっとハイテンションなノリで突っ走って欲しかったです。
あとラストのオチも悪くない落としどころなのですが、ブラックなノリの作品にするのであればもうひと捻りあっても良かった気がしますよ…
総評としましては、設定の突飛さの割には『意外と良く出来た「殺人〇〇」を題材とした一発ネタ系のモンスターホラー映画』という感じですね。
やや物足りなさを感じる部分もありますが、モンスター映画としてもネタ映画としても普通に楽しめるレベルのB級ホラーという印象の作品でしたよ。
ですので、もし『殺人ジーンズ』という題材が気になるようであれば、とりあえずチェックしておいても損の無い一本だと思いますよ。