■■■「ゾンビ・プレジデント」■■■
(55点/モンスター)
新型狂犬病ウイルスを拡散させるという黒い噂のある化学工場の建設を巡って、台湾の立法院では今日も賛成派と反対派の討論(という名の乱闘が行われていた。)
格闘技の達人だが暴力問題で議員を辞任したインインは、新米議員で彼女への想いを抱くヨウウェイと協力して、化学工場の建設に反対を表明するが、そんな討論の最中に最中に唐突に大統領がゾンビ化。
他の議員たちを襲ってソンビウイルスは瞬く間に感染を広げ、立法院は阿鼻叫喚の地獄絵図と貸してしまう。
なんとかゾンビの襲撃を耐え抜いたインインたちは、緊急事態によって保全システムで閉鎖された立法府から、なんとかして脱出しようとするが…
新型狂犬病によってゾンビ化した人々の溢れかえる立法府から、生き残った議員たちがなんとかして脱出をしようとする…という、コメディタッチのモンスターホラー映画。
いわゆる台湾の立法院(国会)を舞台としたゾンビ映画で、タイトルだけ聞くと、プレジデント(総統)がソンビに絡んだ政治的なドラマでも繰り広げられそうな雰囲気ですが、『最初の感染者がプレジデント』という以外は特にプレジデント要素は無くて、コミカルな要素の強いネタ系のコメディホラーという印象の作品です。
作品としては、お話の冒頭から相当にネタ要素が強めで、女性ながらにルチャ・リブレの達人(得意技はウラカンラナ)の主人公を初めとして、異常に濃い政治家やその取り巻きのキャラクターの面々に加え、マンガを意識したような無駄に派手な演出とか、トンチンカンで荒唐無稽なストーリーとか、バカ映画テイストがかなり強めの内容。
立法院が『討論』といいつつ常に議題をよそに大乱闘していたり、チンピラとか変人にしか見えない議員だらけだったりと、ブラックユーモア要素がかなり強めの内容となっているのですが、台湾の立法院の雰囲気とか政治的の事情とかが良く分からないため、いまひとつ笑いどころが良く分からないのはちょっと厳しいところ…
まあ政治ネタ的なパロディを抜きにしても、やたらと下品でアクの強いネタが多すぎて、個人的にはギャグに関してはちょっとセンスやノリに付いていけない感がありましたよ。
ちなみに、本編の7割ぐらいは異常にハイテンションなギャグ要素で占められているので、ノリに付いていけない時点で個人的にはちょっと厳しい映画という印象。
ただ濃すぎるネタは抜きにしても、アクション系のゾンビ映画として観る分にはそれなりに楽しめるのは悪くないところ。
ゾンビ相手にド派手なプロレス技を決めまくる主人公たちの乱闘っぷりは楽しいですし、それに過剰で派手な血みどろ演出なんかで、アクションシーンは予想以上に楽しませてくれます。
主人公やそのライバルたちの無駄に濃いキャラも悪くないですし、中盤以降のテンポの速さとテンションの高さなんかも、なかなかに観るべきものがあって悪くありません。
ただテンションが高いだけでストーリーは全般的にグテグテですし、ゾンビが暴れだす中盤までは『ひたすらクドくて寒いギャグ』の連発をダラダラと見せられてる感じの構成なのがちょっと辛かったかなぁ…
ネタ映画に振り切るのは良いのですが、胸やけを起こすレベルの濃さだったので、もうちょっと観やすい感じにバランス調整して欲しかった作品でしたよ。
総評としましては、『異常に濃い味付けのゾンビものネタ系コメディホラー映画』って感じの作品ですね。
演出やストーリー含めて異常に濃くてクドい内容なので、そういうノリが好きであれば楽しめるかもしれませんが、個人的にはちょっと濃すぎて置いてきぼり感が酷かったです。
設定やテイスト等を含めて、気になっているようであれば観るのを止める事はしませんが、独特のテイストがちょっと人を選ぶ作品ですので『まあお好みで』という感じでしょう。