■■■「TUBE チューブ 死の脱出」■■■
(55点/サスペンス)
バーの店員であるリザは、幼い娘を亡くして人生に絶望して郊外をさまよっていたところ、近くを車で通りかかったアダムという男性に拾われるが、車内で意識を失い目をさました彼女は、自分がチューブ状の通路で繋がれた狭い小部屋の中に閉じ込められて居る事に気付く。
腕にはカウントダウンのような数字が表示された光る腕輪が装着されており、状況の理解できないままにチューブ内を進む事となるが、チューブは迷路のように入り組んだうえに水攻めや火責めといった様々なトラップに加え、制限時間内に安全地帯に辿りつかないと殺されてしまうという、恐るべき死の罠が仕掛けられた迷宮となっていたのだった…
チューブ状の通路で作られた死の罠の仕掛けられた迷路に閉じ込められた女性が、なんとかして迷路からの脱出を図る…という、サスペンススリラー映画。
いわゆる「CUBE」とかにインスパイアされて作られた感じの『謎の死の罠の迷宮』を題材とした、割とありがちなタイプのワンシチュエーションもののサスペンススリラーですね。
まあ「CUBE」のインスパイア作品というか、ぶっちゃけて言うと『低予算でショボくなった「CUBE」』とでも言うような感じの作品です。
作品のタイトルやあらすじでは迷宮の説明は『チューブ』となっていますが、実際の内容の方『チューブ』というより『ダクト』という感じで、『様々なトラップの仕掛けられたダクト状の通路をヒロインが延々と進み続けるだけの映画』というような感じ。
「CUBE」とか他の死のトラップ系の映画のように、ひらけた部屋のような場所が殆ど無くて、シーンの大半が延々とダクト状の通路な上に登場人物も殆どお姉ちゃん一人なので、なんというかとにかく絵面が地味です。
また、序盤ではトラップも回避が困難な感じのものはあまり無く、謎解き的な要素も無くてお姉ちゃんが延々と通路を這っている姿を見せられるだけなので、ビジュアルの地味さも含めてどうにも冗長。
ただ、寄りの映像で延々とクソ狭いダクトの中を進んでいくうえに、途中で天井が降りてきて通路が狭くなる仕掛けがあったりするため、閉塞感が物凄く強く感じられるのはちょっと良い感じですね。
自分は特に閉所恐怖症ではないのですが、そんな自分でも割と圧迫感によるストレスを感じる作りだったので、狭い場所が苦手な人にはちょっと辛い映画かも?
また中盤あたりまでは結構退屈なのですが、中盤からはちょっとした謎解き要素なんかも出てきたりトラップも嫌らしい感じのものが増えてきて、意外と盛り上がる展開になるのは悪くない印象。
ストーリーも予想外の超展開に突入するのに加えて、先が全く読めない感じの構成になっており、前半の冗長さに反して個人的には意外と楽しめました。
オチにちょっと投げっぱなしな雰囲気はあるものの、話の落としどころも割と悪くなかったです。
全体的に低予算故に同じセットの使いまわしが多かったり、ビジュアル的な派手さに欠ける部分が多かったのは残念なところかなぁ?
あと、ヒロインがやたらとピチピチの全身タイツを着ており、狭い通路でお尻側から撮影する妙にフェティッシュなアングルやらが多いのは、監督の趣味か何かなんですかね?(笑)
総評としましては、『いまひとつ地味で派手さに欠ける「CUBE」風味のワンシチュエーションスリラー映画』って感じの作品ですね。
ただ、地味ながらも設定とか世界観とかに面白いところもあったりして、思ったよりも楽しめた低予算B級映画という印象。
「CUBE」系の作品が好きで気になるようであればチェックしても良いかもしれませんが、基本的に地味な内容なので急がなければどこかのサブスクリプション系のサービスに入るのを待っても良いかもしれません。