■■■「ダーク・アンド・ウィケッド」■■■
(55点/サスペンス)
実家から離れて暮らすルイーズとマイケルの姉弟は、療養中の父の病状が悪化したと知らせを受け、実家であるテキサスの農場へと帰る事となる。
帰省した実家で父は寝たきり状態となっており、母に看護されながらひっそりと死を迎えようとしていた。
しかし実家を訪れた彼らに母は『街に帰れ』と冷たく言い放つ。
母の様子をどこかおかしい事を心配した彼らはしばらく農場にとどまる事となるが、その翌日に母親が首を吊って自殺しているのを発見し…
父の危篤を聞き実家の農場に帰省した姉弟が、正体不明の何者かの恐怖に晒される事となる…という、オカルトホラー映画。
「ダーク・アンド・ウィケッド」(闇と邪悪)というタイトルのとおり、いわゆる『悪魔的な何者か』を題材としたオカルトホラーですね。
お話としては『父の危篤の知らせを受けて実家に帰省した姉弟が、死期の近い両親に忍び寄る邪悪な何者かの存在に気づくが…』という感じのストーリー。
俗にいう雰囲気映画的なテイストの強めの内容で、お話の冒頭から不穏なテイストが全開の作品ですね。
ほぼ全てのシーンが不安をあおるような演出となっており、観ているだけでどんどん『落ち着かない気分』になっていくような作りなのは良い感じで、なかなかに不気味な『ガチ系のオカルトホラー』という印象の内容です。
また、割と要所要所にちょっとしたショッキングなシーンやら演出やらを挿入してくれるお陰で、見どころもそこそこ豊富。
恐怖シーンも単純なショッカー演出とかではなくて、シッカリと『怖がらせたり生理的嫌悪を抱かせる』ような演出になっているのも、なかなかに良いセンスで好感触です。
ただ雰囲気やら演出は非常に良いのですが、ストーリーとかに関しては若干グテグテ感がある感じなのは残念なところ。
お話が進んでも着地点がなかなか見えてこないおかげで、ストーリーが前に進んでいる感じがしなくてどうにも冗長な印象を受けてしまうんですよね。
『邪悪な何者か』に関しても作中であまり言及がなくてフワっとした説明のままですし…
確かに、オカルト系の作品は怪異に対してあまり語り過ぎると怖さが半減してしまう部分はあるのですが、もうちょっとバックボーン的なものがあった方がお話に説得力が出て良かった気はします。
ラストも、途中である程度はオチの予想がつくものの結構な投げっ放しっぷりですし、『雰囲気』が良く出てるのは良いのですがもうちょっと『雰囲気』以外の部分も分かりやすく作ってほしかったなぁ…というのが正直なところですよ。
総評としましては、『悪くないテイストの雰囲気映画系のオカルトホラー映画』という感じの作品ですね。
無性に不安になるような『不気味なテイストのオカルトホラー映画』が好きな人であれば、なかなかハマれる作品だと思いますので、そういう映画が好きであればチェックしておいても損は無いと思います。
逆に『良い意味でも悪い意味でもスッキリしない作品』が苦手な人だとモヤっとした気分になる内容かもしれませんので、そういう意味ではちょっと人を選ぶ一本かもしれませんよ。