NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ラスト・ナイト・イン・ソーホー」(60点/オカルト)

■■■「ラスト・ナイト・イン・ソーホー」■■■
(60点/オカルト)


 デザイナーを目指してロンドンのデザイン学校に通うこととなったエロイーズは、寮のルームメイトの身勝手な態度に辟易し、寮を出てソーホー地区のアパートで一人暮らしをはじめる事となる。


 しかしアパートで見た夢の中で、自分が60年代のソーホーで、歌手を夢見てパブで働くサンディという少女になっている事に気付いた彼女は、意識と体験を彼女とシンクロさせていくうちにそれがただの夢ではなく、過去の出来事の追体験だと気付く。


 その鮮烈な体験は、やがて夢の彼女自身の生活にも影響を与えるようになっていくが、そんなある日、サンディが騙されて夢に破れたうえに彼女の住む部屋で殺害される現場を目撃。


 事件に衝撃を受けた彼女は、犯人がまだ生きているのでは無いかと考え、犯人を捕まえて事件の全貌を暴くことは出来ないかと行動を開始するが…

 


 ソーホー地区のとあるアパートで、かつてその場所で起こった殺人事件を追体験した少女が事件の全貌を暴こうとする…というファンタジー要素強めのオカルトサスペンス映画。


 60年代のロンドンの華やかな繁華街やショーパブを題材とした、ちょっとオシャレな雰囲気映画的なノリのオカルト作品ですね。


 一応、主人公が霊能力のようなものを持った少女で、『過去に起こった事件の記憶を被害者と意識をシンクロさせて追体験している』みたいな感じの設定で、ジャンル的にはオカルトサスペンスになるのですが、実際の中身の方はオカルト的な要素はほとんど無し。


 実際の中身の方は『レトロで華やかな世界観やら雰囲気』やらを重視した、ファンタジーテイスト強めの雰囲気映画的なノリのサスペンス映画という印象。


 60年代ロンドンのレトロできらびやかなテイストは良く出ており、その夢のような世界で夢に破れて絶望する少女の物語としては、なかなか良く描かれている印象。


 その体験を現代の少女が追体験することで、さまざまな影響を受けていくというプロットもファンタジー作品っぽくて面白いです。


 ただプロットとしては面白いのですが、作品として上手く描かれているかと言われると、ちょっと微妙な印象を受ける感じ。


 主人公が過去の少女と意識をシンクロさせて感情移入しているという部分がちょっと伝わり辛く、『過去の事件』に猛烈なショックを受けている理由やら、異常なまでに動揺して犯人捜しをはじめる動機やらがちょっと分かり辛いんですよね。


 正直に言って『過去の事件で、そこまで動揺する必要ある!?』みたいな印象を受けてしまい、いま一つお話に入り込めない部分がありましたよ。


 謎解きに関しても『ミスリード的な要素』はなんとなく予想ができるのですが、終盤の展開が唐突過ぎてちょっと釈然としない部分があったというのが正直なところ。


 ラストの怒涛の急展開的なノリは割と面白かったので、ミステリーとしてのストーリーテリング的な部分がもうちょっとシッカリと作られてれば悪くなかったんじゃないかなぁ…って感じで、ちょっと残念さを感じる作品でしたよ。

 


 総評としましては、独特のテイストや世界観が楽しい『雰囲気映画的なノリのオカルトサスペンス映画』って感じの作品です。


 60年代ソーホー地区の華やかな雰囲気やら、ファンタジーテイストのミステリーといった独特のノリ等と観るべき部分はそこそこあるので、そういったシャレオツな感じの要素が気になるようであればチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。


 逆に、独特のテイストを除けばちょっと粗削りな部分の目立つ作品という印象もあるので、予告等を観てタイムリープもの的なサスペンス要素』等に期待してるのであれば、ちょっと注意した方が良いかもしれません。