NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「スリープレス・ビューティー 戦慄の美女監禁実験」(45点/サスペンス)

■■■「スリープレス・ビューティー 戦慄の美女監禁実験」■■■
(45点/サスペンス)


 若い女性教師であるミラは、ある日突然に自宅へと侵入してきた何者かによって拉致され、倉庫の一室のような狭い部屋の中で目を覚ます。


 混乱する彼女だったが、スピーカーから聞こえる声によって『これから絶対に眠ってはならない』という奇妙な説明を受けたあとに、謎の声の指示によって奇妙な『ゲーム』と称した実験を受けさせらる事となる。


 被験者の精神を傷つけるような行為や、肉体への暴行、他の被験者を目の前で殺されるといったような内容の拷問じみた実験を繰り返されるのに加え、VRゴーグルで不気味で暴力的な映像を強制的に延々と見せられる事で、彼女の精神は徐々に崩壊していき…

 


 謎の組織によって監禁された若い女性が睡眠を奪われたうえに拷問じみた実験を延々と繰り返され徐々に精神が崩壊していく…という、ロシア製のサイコサスペンス映画。


 『被験者が監禁されて社会実験みたいなものに強制参加させられる』というのは、サイコサスペンス映画では割とありがちなプロットではありますが、良くあるタイプの『目的不明の実験』みたいな設定じゃなくて『ただただ精神を崩壊させるために肉体的・精神的な拷問を繰り返し続ける』というのは、なかなかに悪趣味な設定という感じ。


 加えてVRヘッドセットでサイケで暴力的な映像を強制的に見せ続けられる』という設定もあったりして、どことなく「時計仕掛けのオレンジ」的なテイストが感じられる内容ですね。


 主人公が倉庫の小部屋に閉じ込められたジャンル的には『シチュエーションスリラー』という感じなのですが、シチュエーションスリラーの割には主人公を監禁した『謎の組織』は『政府の諜報機関(もしくは『敵対組織の反社会勢力?』)っぽい説明が最初に為されており、あまり謎めいた設定になっていないので謎解き的な要素は薄め。


 シチュエーションスリラーのお約束ではありますが、舞台がほぼ『倉庫の一室』から動かないためお話にあまり広がりが無いのは辛いところです。


 主人公に繰り返される『実験』は、心の古傷をえぐるようなものや、目の前で他人を殺したり自分で他の生き物を殺させられたり…といった感じで精神的にダメージを与えるものが中心なのですが…
 内容的にもそこまで目新しさがなくビジュアルにも派手さが無いため観ていてどうにも退屈です。


 また、表題にもなっている『主人公を眠らせない』という設定ですが、眠るのを妨害するような描写もなく『睡眠不足で精神が病んでいる』みたいなテイストも殆ど感じられないため、あまり作品に効果的に使われてない印象なのは困りもの。


 ちなみに本編の最大のみどころは、女性が定期的にVRゴーグルで見せられるという『洗脳ビデオ』みたいな映像で、監督が元々がミュージックビデオとかの畑の出身だけあってか、なかなかにサイケで不気味なうえに電波っぽい『ビジュアルドラッグ』のような内容になっており、非常に見ごたえのある映像になっているのは良い感じ。


 ただ、この洗脳ビデオも尺が数分程度とそこまで長くないため、どうせならこのビデオだけじゃなくて、もっと映画全体が『狂った感じのビジュアル』みたいなノリで攻めて欲しかったかも?


 ちなみに途中である程度の予想は付くのですが、オチもなかなかに救いの無い感じの内容で、最初から最後までいかにも『悪趣味映画』ってのを徹底しているあたりは個人的には嫌いじゃなかったです。

 


 総評としましては、地味な内容ながらも『色々と悪趣味なノリの監禁系サイコスリラー映画』って感じの作品ですね。


 『悪趣味もの』としてはやや物足りない部分もありますが、電波系の洗脳ビデオとか少し面白い要素もあるので、そういうノリが好きな人ならばチェックしてみても良いかもしれません。


 逆にワンシチュエーションスリラーの『サスペンス要素』が好きな場合は、ちょっと物足りなさの残る内容になってしまうかもしれないので、その辺も含めて好みの分かれる作品という印象かも?