NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ロスト・ボディ~消失~」(60点/サスペンス)

■■■「ロスト・ボディ~消失~」■■■
(60点/サスペンス)


 完璧主義者で著名な建築家であるジェレミーは、ある日、公演の帰りの空港に向かう途中でテセルと名乗る若い女性を、ヒッチハイクに応じて車に乗せる。


 しかしトラブルから飛行機に乗り損ねてしまった彼は、テセルと共に次の便までの時間を空港のラウンジで過ごす事となる。


 彼女が『過去に人を殺した事がある』という不穏な打ち明け話を始めた事から、彼女の事を変人だと感じたジェレミーは彼女を避けようとするが、彼女は執拗にジェレミーへと付きまとい話を続けようとし…

 


 空港で『過去に人を殺した事がある』という奇妙な発言をする女性に絡まれた建築家が、彼女の話を聞くうちに予想外の事態に巻き込まれていき…という感じの、サイコスリラー風味のサスペンス映画。


 お話としては『著名な建築家が空港への道すがらにヒッチハイカーの女性を車に乗せたところ、女性は「過去に人を殺した事がある」という奇妙な発言を繰り返す変人で、彼女と会話を続けていくうちに建築家自身の心の闇が明かされていく…』みたいな感じのストーリー。


 最初は『謎の女性』が、単純に『ちょっとメンヘラっぽい性格でストーカー気質のある変人なのかな?』みたいな感じで物語が展開していくのですが、お話が進むうちに実は一筋縄では行かない相手だという事が分かっていき…みたいな感じで、サイコスリラー的なノリが強めの作品です。


 お話の舞台となる空港が、実は『過去に主人公が設計し建築に関わった空港』で、幕間ごとに『空港の模型』に重ね合わせるように主人公たちの姿のが何かの象徴のように提示されたりと、作中で暗喩や暗示的な描写が多用されており全体的に雰囲気映画のテイストが強めの内容。


 謎の女性も、最初は『ちょっと世間知らずで無礼な若者』みたいな雰囲気なのですが、話が進んでいくうちにその異様さが浮き彫りになっていく感じで、お話の盛り上げ方はなかなか上手いです。


 お話は会話劇が中心で、基本的には主人公と『謎の女性』が空港のロビーやらラウンジで会話しているだけ(一応、要所要所で過去の『回想シーン』みたいなのは出てくる)なのですが、『謎の女性の話の内容が徐々に主人公自身と何らかの関りがありそうな事が判明していく』みたいな感じの謎解きのプロセスが面白いです。


 また『謎の女性』の濃いキャラと変人っぷりもなかなかに強烈で、会話劇が中心なのに退屈せずに観れるような作りになっているのは良い感じ。
 (この変人っぷりが結構下品でちょっとイラつかされるような部分もあって、人によっては不快に感じる内容かも?)


 ただお話のプロットは面白いのですが、中盤辺りで『謎の女性』の秘密になんとなく見当が付いてしまうため、お話の意外性と言う点ではちょっと弱い部分があるのは残念なところ。


 雰囲気映画らしく、ラストの展開も『分かったような分からないようなスッキリしない終わり方』ですので、この辺も賛否両論ありそうな印象でしたよ。

 


 総評としましては、なかなか良く出来た『独特のテイストとプロットが面白いサイコスリラー映画』という感じの作品ですね。


 『サイコな変人に振り回される主人公』的なスリラーやら、過去の秘密が徐々に紐解かれていく感じの謎解きサスペンス的なノリが好きであれば、そこそこ楽しめる映画ではないかと…


 やや雰囲気映画のテイストが強めなのでちょっと人を選ぶ内容ですが、設定とかが気になるようであればチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。