■■■「サイコ・ゴアマン」■■■
(55点/コメディ)
遥か太古の時代。
銀河を恐怖に陥れた「悪夢の公爵」と呼ばれる最強のパワーを持つ残虐な宇宙人が、銀河の平和を守るテンプル騎士団と惑星同盟によって倒され、はるか遠くの惑星へと封印される。
8歳のわんぱくな少女ミミは、ある日、兄のルークと共に遊んでいる最中に偶然にも封印された残虐宇宙人を発見し、その封印を解いてしまう。
蘇った残虐宇宙人は、再び全銀河を破壊し混乱の渦に陥れようと画策するが、自分の力の源であり彼を自由にコントロールする事が出来るパワーストーンをミミによって奪われている事に気づく。
残虐宇宙人を自在に操れることに気づいたミミは、彼に『サイコ・ゴアマン』と名付け、彼に命令してわがまま放題の行動を開始するが、そんな最中、残虐宇宙人が復活した事を察知したテンプル騎士団は最強の戦士であるパンドラを地球へと派遣するのだった…
銀河の最強の破壊者である残虐宇宙人の封印を偶然にも解いてしまった8歳の少女が、宇宙人をコントロールしてわがまま放題の行動を取り始めてしまう…という、ゴアホラー風味のSFコメディ映画。
タイトルからもなんとなく予想できるとおりに、いわゆるブラックユーモア系のコメディホラーという感じの作品ですね。
「サイコ・ゴアマン」は、その名前の通り超能力を駆使して残虐な行為を行う怪人な訳で、ブラックな設定に準じる形で全体的にゴア描写は強めの内容。
ただ戦う相手や残虐行為を行う相手は、殆どが彼を追ってきた宇宙人たちなのでそこまで痛々しかったりグロい感じではなく、スプラッタとかが苦手でも観るのが辛いようなレベルでは無い印象です。
『宇宙最強の破壊者』である残虐宇宙人が8歳の少女に好き勝手にコントロールされて、彼女のわがままを叶えるためだけにくだらない遊びやらゲームやらに付き合わされている姿はバカバカしくてなかなか笑わせてくれます。
この残虐宇宙人が『物凄い壮大な過去』を背負っていそうで、ところどころで武勇伝を語ろうとするんだけど、主人公が聞く耳を持たなくて全く過去について語らせて貰えないのも笑わせてくれますし、シーン毎で変なコスプレをさせられていたりとか全体的にクスっと笑えるような小ネタが効いてるのも良い感じ。
残虐宇宙人を狙って攻めて来る宇宙人たちも個性豊かですし、宇宙の守護者のテンプル騎士団がいまいちやる気が無さそうなのもちょっと面白いです。
ただ小ネタ系のパロディとかは面白いのですが、基本は『グロ描写ありのブラックユーモア系の作品』なので、ところどころで『笑えない描写』が含まれる辺りは割と人を選びそうなところ。
またグロ描写以上に気になったのは、主人公の少女があまりにもワガママで傍若無人すぎる性格だという事。
ヤンチャとかってレベルを通りすぎてもはや独裁者のような我儘っぷりで、その行動があまりにも可愛げが無い(無邪気さ故の残酷さとかってレベルではない)ため正直なところ観ていてイライラさせられましたよ。
ラストの展開も、改心してるんだかしてないんだか良く分からないようなオチですし、いくらブラックユーモア系の作品だからといってももうちょっとマトモな性格でも良かった気がします。
(流石に『残虐宇宙人よりも主人公の少女の方がタチが悪いレベル』なのはいかがな物かと…)
あと、低予算で派手なアクションシーンがあまり作れなかったせいもあるのでしょうが、残虐宇宙人の超パワーの見せ場があまりなくて、いま一つ最強っぷりが実感できなかったのも残念なところかな?
宇宙人とのバトルとかで大暴れするシーンは、もっと沢山見せて欲しかったですよ…
総評としましては、低予算ながらも『まあまあ楽しめるレベルのブラックユーモア系のアクションホラー映画』って感じの作品ですね。
ややブラックな要素が強めで、いまひとつ笑えないシーンも多い(主に主人公の少女に腹が立つせい)ため、ちょっと人を選ぶ系の作品という印象。
その手の捻くれたブラックなノリやゴア描写やらが好きな人であれば、割と観れる内容ではあると思いますので、そういうのが好きであればチェックしておいても損は無い一本だと言えるでしょう。