■■■「ザ・スタンド 連続殺人犯の元カレと妄想症に悩む私」■■■
(60点/サスペンス:結構オススメ)
『雨の切り裂き魔』と呼ばれた連続殺人鬼ジェイムズの恋人だったメアリーは、彼の自宅の地下室で殺人現場を何度も目撃しつつも、彼に脅されて恐怖のために被害者を救えないでいた。
ある日、恐怖に耐えかねたメアリーは彼の家に放火して逃げ出すが、それが原因でジェイムズは逮捕され彼女自身も放火の罪で刑務所に収監される事となってしまう。
刑期を経てなんとか出所した彼女は、過去のトラウマから『助けることのできなかった被害者たち』の幻覚に悩まされつつも、なんとか24時間営業のガソリンスタンドの深夜勤務で働く事となる。
しかしガソリンスタンドでの深夜勤務中に、誰も居ないはずのスタンドで奇妙な人影を見たり「殺人を見るのは好き?」という奇妙な電話を受けたりした彼女は徐々に妄想と現実の区別がつかなくなっていくが、そんな彼女の前に刑務所に居るはずのジェイムズが姿を現し…
連続殺人鬼の元恋人のせいで幻覚に悩まされる少女が、ガソリンスタンドでの深夜勤務中に妄想と現実の狭間で恐怖に晒される…という、サイコホラー風味のサスペンススリラー映画。
なんかキングのディザスターパニック映画(「ザ・スタンド」)をパクったようなタイトルだったり、妙に頭の悪そうなサブタイトルがついている作品ですが、意外な事になかなか良く出来た良作スリラー映画でしたよ。(というか、タイトルの「スタンド」ってガソリンスタンドのスタンドかよ…(笑))
お話としては『連続殺人鬼の元恋人が、何度も殺人現場を見せられたトラウマから幻覚と妄想に悩まされるようなりつつも深夜勤務のガソリンスタンドで働くようになるんだけど、一人で店番を続けるうちに妄想と現実の区別がつかなくなっていき…』みたいな感じの展開。
ヒロインが過去に割と複雑な事情を抱えており、『過去に恋人が連続殺人鬼と知らずに付き合っていたうえに、正体を知った後も脅されて殺人現場を見せ続けられていた』みたいな『そりゃ、トラウマを抱えて精神も病むわ』というような設定で…
序盤はこのヒロインの過去のエピソードがメインでお話が進んでいく印象なのですが、サスペンスとしての盛り上げをしつつも主人公のキャラの掘り下げもシッカリと行われており、世界観やキャラクターが非常に分かりやすい作りになっているのは好感触。
こういう割とダレがちなキャラの掘り下げの部分でも、定期的に主人公が『妄想』や『回想』でグロシーンや恐怖シーンを観る事で盛り上げてくれるため、とにかく観ていて退屈しない作りになっています。
主人公の『妄想』もバラエティに富んでおり、壁やトイレから手が生えてきたり、火だるまの人影を目撃したりといった具合にビジュアル的にも面白いものが多いですし、『妄想と現実の境目があいまいになる』というのが上手く表現されています。
また、いわゆる『サイコホラー系の展開かな?』と思わせておいて、中盤から二転三転していくという先の読めない流れの構成も面白いですし、残虐シーンやらグロ描写も割と強めでスプラッタ系ホラーとしてもそこそこ見ごたえのある内容になっているのも良い感じ。
終盤の展開も割とコテコテながらも緊張感のある作りで良く出来ていますし、オチの落としどころも悪くないですし、色んな意味でコンパクトに良くまとまった作品でしたよ。
惜しむらくは、終盤はもうちょっとだけ見せ場があっても良かったかも…って部分が不満点という感じかなぁ?
総評としましては、『サクっと楽しむのに丁度いい具合のB級サスペンスホラー映画』って感じの作品ですね。
あまり強く推す要素や派手さは無いものの、無駄のない作りでテンポ良く観れる佳作レベルのB級ホラー映画という印象。
『連続殺人犯の元カレと妄想症に悩む私』なんていう妙なサブタイトルで損をしている部分はありそうですが、Amazonプライム会員だと無料で観れますし、その手のジャンルが好きならばチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。