■■■「TITANE/チタン」■■■
(50点/サスペンス)
ダンサーのアレクシアは、幼い頃に交通事故に遭った事が原因で頭蓋骨にチタンプレートを埋め込む事となるが、それ以来、自動車に対して異常なまでの執着心と情欲を抱き、同時に危険な感情を抱くようになっていく。
ある日、衝動に駆られて行きずりの男女を殺害して連続殺人犯になった彼女は、身分と性別を偽って逃亡生活を開始。
そんな矢先に、10年前に息子が行方不明になり孤独な生活を送る消防隊員のヴァンサンと出会った彼女は、彼の『息子』として引き取られて、彼の元で奇妙な共同生活を始め事となるが…
自動車に異常な愛情を抱く殺人鬼の女性と、孤独な消防士の奇妙な共同生活を描いた、ファンタジー風味のサスペンススリラー映画。
フランス製の雰囲気映画的なテイストのサスペンス映画なのですが、割と久々に本気で『何やコレ?』という以外の感想が全く浮かんでこない作品です。
フランス製の雰囲気映画という時点で、雰囲気で観る『良く分からん映画』率が高い印象なのですが、本作はそんなレベルを通り越して『何を言いたいのかガチで意味が分からない作品』という印象。
サスペンスなので、できればネタバレなしで感想を書きたいのですが、ネタバレしないと何を書いたら良いのか分からないので、今回はネタバレありで感想を書かせていただきますが…
まあとにかくストーリーの意味が分からないのに加えて、最初から主人公たちのキャラが濃すぎてお話に感情移入しようがないのが困りもの。
『車に異常に欲情するうえにサイコパスの連続殺人鬼』という主人公のキャラが濃すぎて初っ端から1ミリたりとも気持ちが理解できないうえに、後に主人公をかくまう事になる消防士の男性も『筋肉マニアなうえに妄想に囚われて息子の代わりに素性の知れない女性を引き取る』という無駄なまでの濃さ。
この2人の共同生活という時点で、もはや特濃すぎて胸やけしそうなレベルなのですが、主人公は『SEXした自動車(?)の子供を身ごもってチタンボディのお腹になってゆく』という超展開で、もはや何を見せられているのか全く意味が分かりません。
ただストーリーは分からないながらも、雰囲気映画としてはなかなか良く出来ている印象で、やたらとエロティックな『主人公と自動車の関係』も面白いですし、『居なくなった息子に過度に依存する父親』の姿もどこかマニアックで悲しげで良いですし、終盤の『主人公の肉体の変化』も異様なテイストのうえにファンタジックで悪くありません。
ストーリーは最後まで結局意味が分かりませんでしたが、なにか『代替的な存在に愛を求めて依存してしまう人たち』的なものの暗喩みたいな感じなのかなぁ?
もしくは何か『元ネタ』みたいなものがあるのでしたら、どなたか教えていただきたいですよ…
総評としましては、雰囲気映画としては悪くないものの『最初から最後まで全く理解の出来ないサスペンス映画』という印象の作品です。
久々にマジで意味が分からない映画でしたので、『なんか意味が分からない映画を観たい人』やら『独特の世界観とテイストに浸りたい気分な人』にはオススメ出来るかもしれません。
個人的には、ちょっと付いていけない部分が多すぎて、何と評価して良いのか判然としないような映画でしたよ…