NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「シー・フォー・ミー」(65点/サスペンス:結構オススメ)

■■■「シー・フォー・ミー」■■■
(65点/サスペンス:結構オススメ)


 元ジュニア代表のスキー選手でありながら病気で視力を失った少女ソフィは、他人に頼ることなく生きていくために視覚障がい者である事を逆手に取って、お手伝いに訪れた金持ちの家から金目の物を盗み出すという処世術で利益を上げていた。


 そんなある日、留守中のペットシッターとして郊外の豪邸に訪れた彼女は、そこでも盗みを働こうと画策するが、そんな矢先に深夜に彼女が眠っている間に、屋敷に隠された巨大金庫を狙った武装強盗団が屋敷へと侵入してくる。


 異変に気づいた彼女は警察に電話するも、強盗たちに彼女の存在に勘づかれてしまった事から、強盗たちと対決するために視覚障がい者用アプリ「シー・フォー・ミー」を通じて知り合った、元軍人のベテランFPSゲームプレイヤーのケリーに助けを求めるが…

 


 富豪の屋敷で留守番中に強盗団の侵入を受けた視覚障がい者の少女が、リモートでベテランFPS(主観視点のシューティングゲーム)プレイヤーの助けを得て強盗と対決する…という、サスペンススリラー映画。


 『目の見えない女性が悪党と戦う』というプロットから、「暗くなるまで待って」みたいな感じのサスペンスかと思いきや、どちらかというとスリラー要素よりも『視覚障がい者の少女とFPSプレイヤーのバディもの』という感じのお話でしたよ。


 先述のとおり、『目の見えない女性が主役のサスペンス』という意味ではプロットとしてはそこまで目新しさは無いのですが、スマホのカメラを使ってサポートを受けながら悪党と対決する』という設定はなかなか斬新で面白いです。


 また、設定以外の部分でも非常に良く練られた作品で、特にサスペンス要素が予想以上に良く出来た良作という印象。


 お話としては『視覚障がい者の少女が豪邸で留守番してたら、いつのまにか強盗団が侵入していました』という感じの流れなのですが、相棒となるFPSプレイヤーの女性がスマホのカメラの映像を頼りに、FPSの操作ばりに主人公をサポートしながら戦っていく』という展開は、荒唐無稽な設定の割には意外と説得力もあって面白いです。


 ストーリーの流れも『主人公が強盗とバトルする』という単純な展開ではなくて、主人公が強盗に懐柔されそうになったり予想外に警察が絡んできたりと、予想外の展開が多くて非常にテンポ良く最後まで先の展開が全く読めない作りで楽しませてくれます。


 主人公の『視力を失ったせいでスキー選手になるという夢を失い悪事に手を染めてしまった少女』というキャラの立て方も上手いですし、相棒となるFPSプレイヤーの元軍人女性』三者でありながら無理なくお話に絡んでくるという部分の構成が非常に上手くて、普通に感心させられてしまいました。


 あと、主人公役の女性が『実際に成人してから視力を失った女優』の方らしく、演技に非常にリアリティがあるのも良いですし、地味な部分では『強盗団の正体』とかも意外とシッカリと伏線が仕込まれており、その他のネタも含めて細かい部分まで非常に丁寧に作られている印象。


 ただFPSが題材という事もあってか、悪党との対決がほとんど銃撃戦に終始しているのはちょっと物足りない部分かなぁ…


 ラストの対決も妙にアッサリしてたので、もうちょっと他のギミックやトラップ的なものを活かした要素や派手な展開があっても良かった気はしますよ。


 とまれ、少女の成長を描いたストーリーと爽やかなオチも良く出来ていましたし、人間ドラマとしてもサスペンスとしても完成度が高くて予想以上に楽しめた作品でしたよ。

 


 総評としましては、全体的に非常に丁寧に作られた『良作サスペンススリラー映画』って感じの作品ですね。


 本作ならではの個性や派手さという部分ではちょっと物足りない部分もあるものの、逆に設定やらストーリーも含めて『安心してオススメ出来るタイプの映画』という印象です。


 普通に良く出来た作品だと思いますので、その手のホームインベージョンもの等のサスペンスが好きであれば、とりあえずチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。