NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「サバイブ 極限死闘」(45点/サスペンス)

■■■「サバイブ 極限死闘」■■■
(45点/サスペンス)


 不安障害や精神障害を抱える若者たちが暮らすリハビリ施設の入所者であるジェーンは、過去のトラウマから来る不安障害を完治しないまま出所の日を迎える事となる。


 ジェーンは出所の日に実家へと向かう飛行機の中で、睡眠薬による服毒自殺を計画するが、自殺を目前にして飛行機が雪山へと墜落するという事故が発生。


 墜落現場で、空港で知り合ったポールという若者と自分のみが、奇跡的に墜落を生き延びたという事実を知る。


 ポールの提案で、助けを求めるために二人で雪山を下山する事となった彼女だったが、様々な危機的状況を乗り越えるうちに『生きる事の意味』を見出していくのだった…

 


 過去にトラウマを抱えた自殺志願者の少女が、一人の青年と共に飛行機事故を生き延びて雪山でのサバイバルを経るうちに『生きる事の意味』を見出していく…という、サバイバル系のサスペンス映画。


 一応、飛行機事故を題材としたディザスターもののサバイバル映画という感じの体裁を取っていますが、実際の中身の方は自殺志願の少女が自分自身の『生きる意味』を見直すまでを描いた人間ドラマが中心のお話ですね。


 実際に人間ドラマとしては割と良く出来ており、主人公が『自殺したがる理由』にシッカリとしたトラウマがあり、リハビリ施設での暮らしやらも含めて主人公のキャラクターの掘り下げも丁寧で、『自殺はしたいけど本当は死にたくない系の主人公』というキャラの解像度が高くて、キャラに妙にリアリティが感じられるのは良い感じです。


 また、主人公と一緒にサバイバルを行う青年も、実は同じようにトラウマを抱えていたりとドラマとしての構成も面白くて、ちょっと感動できる系の展開があったりしつつ、主人公が『生きる意味』を見い出すという流れとしては、説得力のある構成になっているのは良く出来ている印象。


 ただ人間ドラマとしては良く出来ているのですが、サバイバル系の映画としては微妙な出来というのが正直なところ。


 主人公たちが特に確証も無く、軽装のままで雪山を下山しようとするという流れも不自然(普通は墜落現場で救助を待つと思う)ですし、そもそも『雪山から降りたところで、何の装備も知識も無いんじゃ森の中で遭難するのでは?』という疑問もあったりして、そういう部分が気になっていま一つお話に入り込めません。


 サバイバルを描くのであれば主人公たちに漫然と行動させるのでは無くて、『一緒に遭難した青年が何らかのサバイバル知識を持っていて、それに従って行動する』とか、『墜落した場所に土地勘があって、目的地を目指して行動する』みたいな設定の方が説得力があって良かった気がします。


 サバイバル要素での主人公たちの危機への陥り方も不自然『何でわざわざそんな危険な経路を通って危ない真似をするの?』と言いたくなるようなシーンがあったり、物凄くしょうもない理由で大ピンチに陥ったりと、どうにも無理がある印象。


 というか、そんな簡単に雪山を下山できるなら『しょうもないミスをしなければ、もっと余裕で助かってただろ』とツッコミを入れたくなったのは、自分だけですかね?


 人間ドラマに重きを置いているせいで、良い話風ではあるのですがお話のテンポも悪いですし、いろいろとアバウトに作られて感じの部分が多くて盛り上がるシーンも少ないため、なんだかアッサリ風味すぎていま一つ入り込めない作品でしたよ。

 


 総評としましては、『色々とツッコミどころが多くて盛り上がりに欠けるサバイバル映画』という感じですね。


 雄大な自然の雰囲気や人間ドラマ部分は悪くないのですが、その他の部分の作りが適当すぎてどうにも面白味に欠ける作品という印象。


 まあでもテンポがいまひとつ良くない事を除けば、そこまでツマんない映画という訳ではないので、気になるようであれば何かの片手間程度にチェックしてみても良いぐらいの一本かもしれませんよ。