NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「キラーカブトガニ」(55点/モンスター:結構オススメ)

■■■「キラーカブトガニ」■■■
(55点/モンスター:結構オススメ)


 廃炉となった原子力発電所が爆破処理されたカリフォルニア沿岸の田舎町メンダシーノで、海岸には何者かに襲われたと思われる傷を負った巨大なクジラの死骸が漂着。
 時を同じくして謎の行方不明事件が続発し、行方不明者のものと思われる白骨化した人間の遺体が発見されていた。


 地元警察はサメの仕業ではないかと考えて調査を開始するが、その事件は原発放射能によって突然変異し、狂暴に進化したカブトガニの仕業である事が判明。


 町は狂暴化したカブトガニたちの襲来によりパニックに陥ってしまう。


 襲撃を逃れて逃げ惑う町の人々だったが、やがて更には『人間サイズ』や『怪獣のような巨大なサイズ』へと変異した巨大カブトガニまでもが出現し…

 


 放射能の影響で狂暴化し巨大化したカブトガニの群れが沿岸の田舎町を襲う…という、モンスターパニック映画。


 いわゆる低予算系のモンスター映画なのですが、B級というのもおこがましいぐらいのD級程度のレベルの超低予算お馬鹿系モンスター映画という感じの作品ですね。


 ただ超低予算のクソ映画ではあるのですが、いわゆる『愛すべきクソ映画』に属するタイプの、なかなかに楽しめる内容の作品になっており、『好きな人はめっちゃ好きなタイプの作品』という印象です。


 お話としては放射能で狂暴化したカブトガニの群れが田舎町を襲撃する』という、基本的にはまあそれだけの内容。


 ただコテコテのお話ではあるのですが、主人公たちのキャラの立て方やらドラマの作り方は上手くて、殺人カブトガニの襲撃に対して『半身麻痺という障害を背負った車椅子のオタク青年が、自分のコンプレックスを乗り越えて町を救うために立ち上がる』という展開は、カブトガニとか関係ないレベルでなかなかに熱くて良い感じ。


 また、最近の映画としては珍しい放射能で巨大化&狂暴化』という80年代のモンスター映画にありがちな設定なのですが、それもその筈で、どうやら監督が日本の特撮映画や怪獣映画のファンらしくて、『狂暴化した人食いカブトガニに加えて「仮面ライダー」の怪人のように人型に進化したカブトガニ怪人』、更にはゴジラのようなサイズの『超巨大カブトガニ怪獣』まで出現するという特撮リスペクトっぷりは、日本の特撮の好きな人であれば思わず嬉しくなってしまうことウケアイでしょう。


 ただ、お馬鹿なノリやらテイストやらは非常に良い味を出してはいるのですが、いかんせん超低予算映画故にツッコミどころも満載。


 殺人カブトガニの襲撃シーンは、殆どのシーンが『犠牲者が自分で顔にカブトガニの模型を押し付けてるだけ』ですし、血しぶきは派手なものの特殊メイクはショボくてどうにも迫力に欠ける内容なのは困りもの。


 また、終盤の殺人カブトガニの群れの襲撃が始まってからは、なかなか盛り上がって良い感じになっていくのですが、いかんせんそこまでの展開がかなりグテグテで、行方不明者が続出して死体が見つかりまくっているのに警察が原因を全く捜査していなかったりとか、コメティ寄りの作品とはいえ展開に色々と無理がありすぎです。


 全体的なお馬鹿テイストは悪くないと思うのですが、流石に異世界じゃないんだから常識的な部分は普通にリアル寄りの設定の方が良かった気がしますよ…


 ただ、色々と出来の悪い部分やらツッコミどころはある作品ながらも、終盤の『怒涛のハチャメチャ展開』はそれらを吹き飛ばすほどのパワフルさですので、お馬鹿系のモンスター映画が好きな人であれば、是非とも観て欲しい内容ではありますよ。(笑)

 


 総評としましては、良い意味でも悪い意味でも酷い内容『予想以上に楽しめる超低予算のお馬鹿系モンスターホラー映画』って感じですね。


 色々とツッコミどころは多いし不満点もあるのですが、そういった部分も含めて『愛すべきクソ映画』ってノリの作品ですので、そういう映画を求めているのであれば間違いなく楽しめる一本だと思います。


 ノリとしては『バカ要素:7割/ホラー要素:3割』ぐらいの作品ですので、そういうネタ映画を求めているのならば間違いなくオススメ。
 逆に真面目な生物パニック映画を求めているのであれば、ちょっとテイストが違うので要注意かもしれませんよ。