■■■「デッド×リミット 絶対絶命」■■■
(30点/サスペンス)
ダニエルがリーダーを務める仏軍のドローン部隊は、中東の大物テロリストであるディアロの身柄を確保するために、地上部隊と連携して任務を遂行していた。
その頃、仏軍の動きを察知したディアロは、その部下にダニエルの妻と娘を襲撃させ二人を人質に取ってしまう。
テロリストからの電話で、妻と娘が拘束されている事を知った彼は、交渉によりなんとかして二人の安全を確保しようとするが、テロリストたちはダニエルの妻と娘が人質になっている事は仲間に秘密にしたうえで、地上部隊を攻撃するように要求し…
仏軍のドローン部隊のパイロットが家族を人質に取られて仲間の部隊を攻撃する事を要求される…という、サスペンス風味の戦争アクション映画。
ドローン題材とした戦争映画は本作に限らず既に何本か作られており、大概は『新たな戦争の姿』を描いたアイデアやテーマ性重視の作品と言う印象ではあるのですが…
本作の場合は『お話の舞台がドローンのコントロールルームのみで済む』という事を活用した、恐ろしく地味な超低予算の戦争映画って感じの作品ですね。
お話としては『家族を人質に取られたドローンのパイロットがテロリストによって仲間を攻撃する事を要求される』という、割とまあそれだけのお話です。
とまあシチュエーションだけ聞くと、割と『ちゃんとしたサスペンス映画』になりそうな題材なのですが、困った事に『単に地味なうえにグテグテでツマんない映画』というのが本作の正直な感想です。
映像の殆どのシーンが『ドローンチームのパイロットを映したWebカメラとドローンのカメラ映像のみ』で構成されているというのは、ワンシチュエーションものの設定を活かした低予算映画的な手法とも言えるのですが、困ったことに肝心のシチュエーションがあまり活かしきれていないんですよね。
会話シーンやらドローンによる索敵やら爆撃シーンはまだ良いのですが、主人公がLINEで犯人とこっそり会話をやり取りするシーンとかをダラダラと見せられても、単に地味な絵面を延々と見せられてるだけで、どうにも盛り上がりません。(というか、そもそも作戦中にLINEとかやってて許されるのか?)
また、そもそも犯人と交渉するにしても『ドローンパイロットの主人公が家族を人質に取られている』という時点で主人公側に交渉できるようなアドバンテージが何も無いですし、そもそも救出するにしても『主人公の裁量でどうにか出来るレベルじゃない』でしょうし、主人公もウダウダやってないでさっさと上層部に相談しろよ…と思ったのは自分だけ?
逆にテロリスト側もやってる事がやたらとヌルくて、主人公に味方を攻撃させたいならもっと強硬に要求すれば良いし、テロの幹部を逃がしたいなら主人公にこっそり攻撃とかやらせないで公式声明を出して自分たちへの攻撃を中止させるだろ…としか言いようが無くて、とにかくリアリティの感じられない設定が多すぎて観ていてイライラしてしまいましたよ。
また先述のとおり、お話全体的に観ても『テロリストとの会話シーン』がメインのような感じで盛り上がるようなシーンが少なすぎて、とにかく地味で冗長な作りなのが困りもの。
あとネタバレになってしまうのですが、ラストも矢鱈と唐突なうえに物凄く後味の悪い感じの終わり方で、何を語りたいのかも判然とせずに微妙としか言いようのないような映画でしたよ…
総評としましては、とにかく『地味で盛り上がりに欠ける超低予算系の戦争アクション映画』という感じの作品ですね。
一発ネタのシチュエーションスリラー系の映画なのですが、一発ネタが滑ってしまったような印象で、いまひとつ誉めるべきところが思いつかない感じです…
なんとなくシチュエーションや設定のみ見たら、そこそこ面白そうに見えてしまうのが厄介なところですが、よほど『ドローンを題材にした映画』とかにこだわりがあって、どうしても観たいとかってのでもなければ、普通にスルーしてしまっても問題の無い一本だと思いますよ。