■■■「皇帝ペンギン」■■■
(55点/ドキュメンタリー)
今回はドキュメンタリーなので、ストーリーの解説は割愛しますが…
フランスで「ディープ・ブルー」を押さえてドキュメンタリー映画の売り上げ記録を更新したという事で話題を呼んだ、極寒の南極の厳しい環境に棲息する皇帝ペンギンの驚くべき生態を撮らえたドキュメンタリー映画です。
「皇帝ペンギン」とかってタイトルだけ聞くと、ペンギンがいっぱい出てくる可愛らしい映画みたいな印象を受けますが、映画の内容はいたってマジメな物で…
卵を温め続けて雛を育てる為だけに、40日間何も食べずにブリザードに耐えながら南極の氷原に立つペンギンの雄達の姿を観ると、大自然の厳しさにある意味感動すら覚えるような内容で、あまり『可愛い』とかって印象を受ける映画ではありません。
あと余談ながら、皇帝ペンギンって大きいものになると身長が150cmぐらいになるそうで…この映画を観ると結構スケールが良く分かるので『確かにデカいな!!』という印象が先に立ってしまい、実際に目の前に居たら可愛いどころの騒ぎじゃ無いだろうなぁ…とか思ってしまいました。
とまあ、余談ですが…
粛々と皇帝ペンギンの1年間の生態を描いた本編の内容は確かに非常に良く出来ており、実際に1000時間以上にわたる撮影を行ってフィルムを編集したそうで、並々ならない努力で撮影された物なんだろうなぁ…というのは感じられます。
ただ、確かに映像は良く撮られては居るのですが、生物ドキュメンタリーとかが好きな人間から観ると、皇帝ペンギンの生態は既に知っている事ばかりでちょっと目新しさには欠けるという点と、「ディープ・ブルー」のような純粋な映像での驚きというのが余り無い点から、ちょっとインパクトに欠けるなあ…というのが正直な印象です。
逆に生物ドキュメンタリーが好きな人よりも、普段はそういった番組はあまり観ないけど、話題になってるので気になってる人とかが観るのが一番良いのかもしれませんね。
あと、皇帝ペンギンを擬人化して人間のようなセリフをナレーションとして入れてる演出は、人によって好みが分かれる所かもしれませんね。
個人的にはNHKのドキュメンタリー風に、ナレーションも粛々と事実のみを伝えてくれた方が良かったかな?
総評としましては、個人的には内容に目新しさが感じられなかったので、少々不満点も残るものの、純粋にドキュメンタリー物としての完成度は非常に高いので、そういうのが好きならば普通に観ておいて損は無いタイトルだと思います。
でも実際には、むしろ普段はそういった事に興味がない人にこそ観てもらって、大自然の厳しさや生命の神秘や驚異といった物を感じてもらいたい…というような1本と言えるでしょう。
あと、この映画って夏頃に劇場公開された作品なので、暑い盛りに見る南極の映像は涼しげで良かったかもしれませんが…この時期に寒い部屋で観ると自分まで凍えそうな気分になって来るので、観る際には暖房器具を準備しておく事をオススメしますよ。