NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「シークレット ウィンドウ」(65点/サイコスリラー)

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■■■「シークレット ウィンドウ」■■■
(65点/サイコスリラー)

 とある事から妻と疎遠となり離婚まで別居する事となったサエないミステリー作家であるモートは、森の奥の別荘で一人で執筆活動を続けるという毎日を送っていた。

 しかしそんなある日、彼の元へシューターと名乗る一人の男が現れ、彼の書いた短編小説である「秘密の窓」は、自分が書いた作品の盗作だと主張するのだ。

 最初はシューターの言う事を、ストーカーまがいのファンの戯言だと一蹴していたモートだったが、やがてシューターの行動はどんどんエスカレートして行き…


 S・キング原作の短編小説「秘密の窓、秘密の庭」を、ジョニー・デップ主演で映画化したサイコスリラーもののサスペンス映画。

 ホラー映画ファンの間では、あまりにも有名ですがスティーブン・キング原作のホラー映画はクソ映画の確率がムチャクチャ高い』っていう定説があります。

 更に、ジョニー・デップのファンの間では有名な事ですが、『J・デップの主演のB級映画は、物凄く微妙な映画が多い』ってのも、これまた定説と言って良いような話だったりします。

 果たして、このダメ映画に定番の2人が関わっている、ダメの定説のダブルパンチとでも言うようなこの映画は、果たしてどうなのか?と言いますと…


 なかなかどうして、意外にも普通に面白いサスペンス映画だったりします。

 お話の内容は、かなりオーソドックスなタイプのサイコスリラーで、基本としては『秘密の窓』は本当に盗作された小説なのか?といった話を中心として…
 『シューターとは何者なのか?そして、彼の真の目的とは?』という謎解き部分を、テンポ良く緊張感を持って楽しませてくれます。

 特に主人公を中心とした、人物描写に関する部分を主軸とした話の描き方がなかなか秀逸で、キングの小説って情景描写よりも人物の描写といった部分の方が濃い物が多いので、これぐらいのボリュームの短編小説を選んだ方が、映画化には向いてるのかな?とか思いました。

 ただホラーファン的には、なんとなく「シャイニング」っぽいシーンとかが結構出てきて、『どっかでみたシーンだなぁ』デジャヴを感じるような所もありますが、まあ原作者が一緒なんだし、多少似てるのはしょうがないのかな?と…


 この映画の見所のもう一つは、J・デップが物凄くカッコ悪い事。

 売れないミステリー作家として、ボサボサ髪に破れたボロボロのガウンという格好で自堕落な生活を送っているJ・デップが、そのルックスやら、ビクビクと怯えるような挙動不審な態度やら…もう、とにかくハンパ無いぐらいにカッコ悪い!!

 ファンの人だと『ちょっと怠惰な感じでカッコ良い』とかってのを想像しそうですが、本気で何の比喩もなしに無茶苦茶カッコ悪いんですよ。

 でも、逆にとてもじゃないけど、ファッションとかだけじゃここまでのカッコ悪さを表現する事は出来ないので、『J・デップの演技の幅って、やっぱり凄いなぁ…』と、素直に感心させられました。
 主人公の独白的な部分が多い事もあり、本編の作品中J・デップは殆どでずっぱり(というか、J・でっぷワンマンショーみたいな感じ)なので、ファンならば色んな意味で見ておく価値があるかも?


 総評としましては、ごく普通に楽しめるレベルのサスペンス物のサイコスリラー映画です。
 『キングだし、デップだしなぁ…』という理由で警戒してる人は、定番を覆すような堅調な出来の作品ですので、気にせずに観てみると良いでしょう。

 ただ、元が短編だけあってお話の規模なんかはちょっと小ぶりですので、あまり肩肘張らずに『ちょっとしたサスペンスドラマを見る』程度の感覚で観ると、なかなか楽しめると思います。

 個人的には、オチが中盤で読めてしまったのが、ちょっとマイナス点かなぁ?
 (まあ、キングらしいホラーだと言えば、まさにその通りなんですが…)

 あと、割とどうでもいい話ですが、J・デップの吹き替えというとお馴染みの平田広明氏が担当してる訳ですが、氏の声ってどうにも『コメディ向け』というイメージがあって…
 吹き替え版で観てると『この次のセリフでボケるかも?』とか無駄に勘ぐってしまって、落ち着いて5分も見てられませんでした。

 「フレンズ」のジョーイの吹き替えもこの人が担当で、いまWOWOWでやってる「ジョーイ」放送を観た直後に観たのがいけなかったのかも?
 (アニメファンなら「ONE PIECE」のサンジの声と言った方が、通りが良いかな?)