■■■「暗黒ベビィ ビクチム」■■■
(50点/赤ちゃんホラー?)
ある日、ニューヨークの街でSMプレイ中の男女が、プレイの最中に何者かによって、全身をバラバラに切り刻まれて殺されるという奇妙な連続殺人が発生する。
CSI(科学犯罪捜査官)のカメラマンであるダニエルは、事件の捜査中に事件現場で奇妙な『赤ちゃんの手形』のような物を発見し、たまたま覗いた好感度ビデオカメラのファインダーに肉眼では見えない『不気味な小人』のような姿が映っているのを目撃する。
今回の事件に、その『見えない小人』が関わっていることに気付いた彼は、上官にそれを報告しても全く信じてもらえない事から、独自に小人の正体を突き止めようと捜査を始めるが…
Z級ホラー映画ではお馴染みなアルバトロス・コア配給の、『見えない小人』の集団が人間を襲う…といった感じの設定のモンスターホラー映画。
予告編のムービーに入っていた…
> ミルクの代わりに血をすすり、人肉さえも離乳食。
> 今、人間界は地獄の保育所と化す!!
という、映画のキャッチコピーが死ぬほどウケて、思わず観賞してみました。
いやいや、あいかわらずアルバトロス・コアの予告編は良い仕事してますな。(笑)
キャッチコピーやパッケージの変さに対して映画のストーリーの方はというと、意外にもごく正統派のモンスターホラー映画って感じのお話。
発生する殺人事件 ~ 謎の怪物を発見する主人公 ~ 信じない上司 ~ 独自に調査 ~ 連続して起こる殺人事件 ~
といった感じの滅茶苦茶ホラー映画のテンプレートに沿ったストーリーなんですが…
基本的にストーリー展開も物語のテンポや演出も、特にコレといった破綻した部分も無く、ごく普通にB級ホラーとして楽しめるレベルは維持されているのは、なかなか良い所です。
モンスターの造型とかは結構安っぽい感じで、『お金かかって無いなぁ』ってのが見て取れるようなレベルではあるんですが…
『見えない小人』という設定を使う事で、上手く予算が足りない部分を補っており、また高感度ビデオカメラのファインダー越しにのみ姿が見えるってのも、なかなか面白いです。
ちなみに怪物の外見は、『暗黒ベビィ』とあるように邪悪な小人妖精って感じなんですが、単に姿が見えないってだけで所詮は小人なので、姿が見えるようになったらメチャクチャ弱いのが笑えます。
っていうか、人間に踏まれただけで死ぬモンスターって一体…(笑)
あとこの映画、襲われるのがSMプレイ中のカップルという設定で、ストーリーにSMクラブがかなり濃く絡んでくるために、やたらめったらとお姉ちゃんの裸やらSMプレイのシーンやらが何度も出てきます。
まあ、お色気路線をウリにしようって話なんでしょうが、基本的には『だから何?』って感じの設定ではあるんですが…
でも、出てくるお姉ちゃんは結構美形が揃ってて、裸もかなりキレイな人ばっかなんで、観てて苦痛にならないのは、まあ良い点だと言えるかも?
しかしまあこうもSMシーンが多いと、少なくとも家族と一緒に観るような映画では無いですな。(こんな映画、家族となんか観んわ!!)
ところで、この映画は『「ブレインデッド」に並ぶ赤ちゃんホラー』とかってのがウリらしいですが…
そもそも、『赤ちゃんホラー』なんてジャンル聞いたことも無いんですが、どういう事よ!?
(まあ、以前に「悪魔の赤ちゃん」なんてモンスターホラー映画がシリーズ化されたりしてた事もありましたが…)
総評としましては、パッケージやタイトルの色物度合いに対して、内容の方は意外にも普通に観れるレベルのモンスターホラー映画でした。
まあ、SMシーンがいっぱい出てくるって時点でイロモノと言えばイロモノなんですが、もっとトラッシュムービー風な手に負えないクズ映画を求めてる場合は、逆に観ない方が良いかも?
話のネタとして観ておきたいって分には特に止めませんが、逆に特にお勧めもしません。
オチが死ぬほど唐突で訳が分からん…って話もありますが、まあ「アルバトロス・コア」でB級ホラーですから、その辺は大目に見てあげましょう。
ちなみに、この映画、原題は「BLOOD GNOME」(血まみれの小人?)ってタイトルなんですが…
本編の何処を取っても『ビクチム』なんて固有名詞は一回も登場しないんですが、この邦題は一体どういう意味がありますか?
っていうか、そもそも『ビクチム』って何よ!?
教えて、偉い人!!
あと、参考までに、このパッケージのようなシーンは、本編には1ミリも存在しません。
(そもそも、暗黒ベビィを生み出してるのは、触手の生えたマザーエイリアンみたいな怪物ですし。)
まあ、ホラーのパッケージでは良くある事ですな。