■■■「マシーンヘッド」■■■
(50点/モンスターホラー?)
内燃機関の新たな理論の研究に没頭するあまり、ハイスクールでもクラスメートから変人扱いされ苛められている青年・マックスは、『内燃機関とコンピュータとの関係』に関する自分の理論の正しさを証明する為に、葬儀屋である自宅の地下室からこっそりと死体を盗み出し、死体の頭に芝刈り機のエンジンを装着して、電流パルスを逆流させる事で死体を復活させるという実験を行う。
果たして彼の実験は成功し、エンジンを搭載した死体は「マシーンヘッド」となって復活するが、エンジンのパワーを制御できない為に自分の力をコントロール出来ないマシーンヘッドは暴走事故を起こし、マックスの最愛のガールフレンドであるサリーを殺してしまう。
愛する人を失い自暴自棄になったマックスは、このマシーンヘッドのパワーを利用して、自分を苛めたクラスメート達へと復讐する事を思いつくが…
頭の横にエンジンをくっ付けて死体から蘇生した、フランケンシュタインの怪物風の怪人が登場するモンスターホラー映画風の作品。
配給はB級~Z級のホラー映画ではお馴染みのアルバトロス・コアで、アルバと言えば『物凄くイロモノっぽいんだけど内容は割と良質なB級ホラー』か『本当に手が付けられないZ級のクズ映画』を配給する事が多いのですが、この映画は前者の方で、どう見てもバカっぽい設定でありながらも、中身は意外とマトモなホラー映画になっています。
内容的には、フランケンシュタインの怪物のオマージュっぽい『怪物として蘇ってしまった男の苦悩』みたいなのが描かれる作りになっているのですが、それにしても何故に頭にガソリンエンジンを搭載しますか!?
そりゃ怪物も振動で頭が揺れて、手元も狂って人を殺したりもしちゃいますよ…
まあ、この辺の設定は『脳内に流した電気パルスを内燃機関へと逆流させる事で、エンジンに2進数を理解させて体を動かす』みたいなトンデモ理論を本編の中で説明してくれるんですが…
いやいや、百万歩譲ってその理論が正しかったとしても、別に頭にエンジンを直付けする必要は無いだろう!!
なんというか、側頭部にエンジン搭載ってだけで見た目のインパクトは抜群で、そりゃ理性を取り戻した怪物も自分の姿を見て絶望もします。
…が、怪物の見た目の突飛さに対してお話の方は比較的マトモな内容で、自分のミスによってガールフレンドを殺してしまった主人公が、秘密を守る為に次々と罪を重ね徐々に狂気へと駆り立てられていくというプロセスは結構見事に描かれていてパッケージから受ける印象以上に恐いお話です。
また、理性を取り戻した怪物の苦悩するシーンなんかも、思いの他しっかりと描かれており、設定やらビジュアルのバカっぽさに似合わずにごく普通にB級ホラーとして楽しめるだけのレベルになっているのは逆の意味で驚きでした。
ただ、もともとはTV映画か何からしく、予算が無かったせいか特撮や映像にショボい部分が多いのは、まあ致し方ないかな?といった感じ…
特に、お話の途中で怪物がエンジンに給油する為にガソリンスタンドに訪れるのですが、店主や他の客がパニックを起こしたせいで大量のガソリンがブチまけられるというシーンとかあるにも関わらず、その後何も無かったかのようにガソリンスタンドのシーンがスルーされてしまうのは、やっぱガソリンスタンドを爆破するには予算が足りなかったからなんだろうなぁ…とか勘ぐらずには居れません。
うーん、貧乏って切ないですね…
とまれ総評としましては、見た目のインパクトとバカっぽさにも関わらず、思いの他に良く出来たB級ホラー映画です。
とりわけ強くプッシュする程の作品では無いものの、割と掘り出し物的な佳作のB級ホラー(予算だけみるとD級ぐらい?)と言っても過言では無いでしょう。
ちょっと変な設定のネタ映画とかが好きな人や、アルバトロス・コアのファンという奇特な人ならば、とりあえず観ておいても損は無いかもしれませんよ。
一風変わった変なB級ホラーが好きならば、試しにチェキしてみて下さい。