NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「フォレスト・オブ・ザ・デッド」(55点/ゾンビ映画:ゾンビ好き限定でオススメ)

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■■■「フォレスト・オブ・ザ・デッド」■■■
ゾンビ映画/55点:ゾンビ好き限定でオススメ)

 木材伐採を行う巨大企業が収穫量をアップする為に、所有する森林の一部で遺伝子操作を行った樹木の育成実験を行うが、遺伝子操作を施した樹木の樹液に奇妙な変化が発生している事を発見する。

 この森林の伐採を行っていた事業所が、過激な環境保護運動を行う保護団体の妨害工作を受けて、作業中に従業員が負傷。
 傷口から謎の樹液を浴びた従業員は激しい発作の後に死亡するが、その直後に生ける屍と化して、他の従業員達や環境保護団体のメンバーへと襲い掛かる…

 突然に事業所との連絡が取れなくなった事に疑問を感じた企業の社長の息子が、森林の奥地にある事業所の視察へと訪れるが、その場所は既にゾンビの大群に汚染され、『生き残った一部の人間がバリケードを築いてゾンビ達と戦う』という陸の孤島を化していたのだった。


 森林伐採中に森の奥地でゾンビの大群が発生して、一部の生き残った人間が脱出を試みてゾンビと戦う…という、閉鎖環境型サバイバルホラー風のゾンビ映画

 先日の「ミート・オブ・ザ・デッド」狂牛病が原因の『牛ゾンビ』が登場する映画でしたが、今回は遺伝子操作された木材が原因の『樹木ゾンビ』とでも言うようなゾンビが登場する映画です。

 少し前まではゾンビというと謎のウィルス感染やらブードゥーやらインディアンの呪い…ってのがメインのシチュエーションでしたが、最近はもはや何でもありな様相を呈して、一昔前の生物パニック映画のような状況になってますな。
 (しかし、環境の変化で生物が凶暴化するのは分かるけど、ゾンビが誕生するのは今一つ納得がいかない気も…)

 しかし設定の奇抜さに対して、映画の内容は極めて正統派とも言えるような非常に良く作られたゾンビ映画で、追い詰められた極限状態での登場人物同士の対立やエゴといった物も丁寧に描かれており、サバイバルホラーとしては非常にお手本的な作りです。
 (ただ登場人物が『森林伐採の作業員』と『環境保護団体のメンバー』という、最初から仲が悪い関係のため、しょっぱなからピリピリしすぎな感はありますが…)

 また、非常に正統派ホラーらしくシチュエーション的にも恐いシーンが多く、抗議デモの為に自分の身体を樹木に縛り付けた環境保護団体のメンバーがゾンビに襲われるシーンや、かつての仲間たちがゾンビになって襲い掛かってきて攻撃するのをためらってしまうシーンやら、観てて普通に『これは恐い!』と感じるシーンが意外と多いのは良い所。

 材木加工場という事で、断裁機やチェーンソーでゾンビを切り刻んだり丸太で押しつぶしたりといった残虐シーンのシチュエーションも凝っており、なかなか楽しませてくれるのですが…
 ただ残虐シーンに関しては、肝心のシーンはカメラからフレームアウトしたフレームの外で行われており直接的な描写は無い為、『残虐シーンは想像におまかせします』的なシーンが非常に多い辺りが、予算の少ないB級らしさを感じさせます。
 SFXのレベルは低くはなかったので、この辺のゴア描写がもうちょっとシッカリ描かれていれば更に良かったかな?

 でも、「ゾンビ」(というか、デイ・オブ・ザ・デッド)を意識したと思われる終盤の展開は、中だるみを持たせない為には確かに効果的だったとは思うのですが、ちょっと詰め込みすぎた感もあって、最後は『やたらと駆け足で収拾が付かなくなってしまったかなぁ?』と思わなくも無いですねぇ。
 まあラストはやや投げっぱなしな気もしますが、なんとなく後を引く終わり方で個人的には嫌いでは無いです。

 総評としましては、このところ観たゾンビ映画の中では久々に掘り出し物と言えるような、良作のB級ホラー映画です。
 ごく普通にホラー映画が好きな人で特にソンビ映画が好きな人ならば、ひとまず観ておいても損は無い一本と言えるでしょう。

 つか、パッケージに『木、切るな!』とか書かれてて、まるでイロモノ作品のような扱いを受けて居ますが、その実態は意外なぐらいの正統派な内容なので、この内容でこのパッケージは、絶対に宣伝の仕方を間違ってるよなぁ…
 逆に、パッケージに騙されて『おバカホラー』っぽいノリを期待して観ると、スッカリ肩透かしを食らわされるので注意しましょう。

 笑える要素なんてそれこそ1%未満で、楽しさとは対極にあるような映画ですから。