■■■「蝋人形の館」■■■
(スラッシャーホラー/60点:スラッシャーホラー好きならオススメ)
カーリーは双子の兄であるニックらを含む6人の仲間達と一緒に、翌日のフットボールの試合を観戦するために、街へ向かって裏道を2台の車でドライブしていた。
街への到着が翌日になりそうだと考えた彼らは、片田舎の空き地で一晩のキャンプを行う事とするが、しかし翌朝目覚めた際に、車のうち1台のファンベルトが何者かに切断されて車が動かせなくなっている事に気付く。
車を修理できる場所を探して途方に暮れていた彼らだったが、偶然近くを通りかかった交通事故にあった動物の死体処理を行っている不気味な男に、近くの街までの案内をして貰える事となり、カーナビにも表示されないような小さな人気の無いアンブローズという町へと案内される。
町の中で唯一のガソリンスタンドの店主が葬式に出席しており、葬式が終わるまでの時間を持て余した彼らは、町の外れにそびえ立つ古びた「トルーディーの蝋人形館」と書かれた建物に興味を抱き、その場所へと行ってみる事とするが…
もう何度目のリメイクになるのか判然としませんが、同名タイトルである「蝋人形の館」のリメイクとなるスラッシャーホラームービー。
リメイクといっても、生きた人間をそのまま蝋人形にしてしまう…という基本設定を再利用してるだけといった感じで、映画の内容的には全くのオリジナルっぽい雰囲気の極めて現代的なスラッシャーホラーといった感じのお話です。
「悪魔の棲む家」のようにゴシックホラーを現代に蘇らせよう…といったテイストでは無く、映画の内容も非常にスピーディで見せ場もそれなりに用意された、極めて普通の今っぽいスラッシャーホラーへと仕上がっております。
特にゴア描写が結構強くていかにも現代的で、アキレス腱をハサミでチョン切ってみたり、指をニッパーでチョン切ってみたり、瞬間接着剤で口を閉じてみたりと、恐いというよりもとにかく『痛そう』な描写が目白押し。
その手の『痛そうな描写』が苦手な人はハッキリ言って観ない方が良いでしょう。
『人間が生きたまま蝋人形にされる恐怖』や『蝋人形館の不気味さ』といった雰囲気は余り無い物の、映画その物の完成度はなかなか高くて、スピード感のある演出やストーリー展開に、キチンと盛り上げるポイントを押さえたお話作りは非常に良質で、ラストの「蝋人形館」ならぬ「蝋館」が炎上するシーンなんかは、非常に迫力もあって見応えがあります。
不満点を上げるならば、序盤が結構長時間に渡って何の事件も起こらないので、若干退屈かも?といった所ですが、ストーリーの見せ方がなかなか上手い事もあって、あまりダレるといった感覚も無いので、ホラーが好きな人なら普通に楽しむ事が出来るでしょう。
総評としましては、あんまりリメイクとかって事を意識せずに楽しめる、ごく普通の良質なスラッシャーホラー映画です。
この所、スラッシャーホラー系はイマイチ振るわない作品が多かったので、普通にスラッシャーホラーが観たいという人には手放しでオススメしてしまっても良い作品だと言えるでしょう。
あまりにも普通すぎて突き抜けた部分も無いですが、まあオーソドックスな作品も悪くない…って事で、リメイクブームに飲まれてあまり話題にもなりませんでしたが、掘り出し物的な一本と言える作品でしょう。