■■■「アイスクイーン」■■■
(モンスターホラー/45点)
生物学者のゴダート博士は、氷河期の地層より冷凍状態の一人の女性を発見する。
その女性は、体温が低下すると現存する人類とは全く異なる代謝機能を持ち、その体温は極低温で周囲の温度が低温になればなる程に、その能力を発揮出来るが、周囲の温度が上昇するとミイラのような外見になって苦痛の余りに凶暴化するという特徴を備えていた。
その冷凍美女は「アイスクイーン」と命名され、軍によって研究するべく研究所へと護送される事となるが、ゴダート博士はこのアイスクイーンに入れ込む余り傭兵部隊を雇ってアイスクイーンを強奪。
しかし、飛行機での輸送中に冷凍装置が故障したせいで、アイスクイーンが眠りから目を醒まして暴れだし、飛行機は雪山へと墜落する。
飛行機の墜落によって発生した大雪崩によって、スキー場のロッジは生き埋めとなってしまい、ロッジに閉じ込められた人々は何とか脱出経路を探そうとするが、彼らの前に長年の眠りから目を醒まし体温の上昇によって凶暴化したアイスクイーンが襲い掛かるのだった。
ウチのサイトでは半ばお馴染みであるアルバトロス・コア配給による、数万年の眠りより目覚めた冷凍美女の登場するモンスターホラームービー。
パッケージを観ると「スピーシーズ」のシルもかくやというセクシー美女のモンスターが描かれていますが、本編ではこんな人は1ミリも登場せずにボディスーツにミイラ顔の『魚みたいな女』(←登場人物談)が登場するだけですので、『騙された!!』と思っても、怒りの余りDVDを投げ捨てたりしないようにご注意下さい。
まあ、アルバトロス・コアのやる事ですしね…
系列としましては、先ほども名前が出た「スピーシーズ」を意識したような、美女モンスターホラーっぽいノリを狙っているのでしょうが、美女状態なのは本作の始まった直後の数分間のみですし、それ以降はミイラ顔になってしまうのでそもそも素顔も出て来ません。
そしてなんと言いますか本作の特徴としましては、このアイスクイーンがモンスター映画に登場するモンスターとしては異例なほどに弱いという事!!
スキー場のロッジに初登場したシーンでは、颯爽と現れたと同時に天井から落下してきた雪に埋まって動けなくなりますし、人間を襲うシーンではトイレで手を乾かす為のハンドドライヤーの温風を浴びただけで行動不能になるヘタレっぷり。
そもそも、『体温が極低温で爪が鋭い』って以外にコレといった特技も無いのに、最大の武器のツメ攻撃もごく普通の台所にあるお皿とかで防御されてしまいますし、身体能力もたいした事が無いので素手の女性と取っ組み合いになっただけでも負けそうになります。
もし主人公たちが最初から殺る気マンマンでアイスクイーンに挑んでいたら、誰一人として犠牲者が出る事無く倒せていたでしょう。
つか、温帯の地方に飛行機が墜落してたら、何もせずに死んでいたのでは…?
更にこのアイスクイーン、外見はピチピチのボディスーツ(恐らく医療用の水冷スーツ)みたいのを着てるのですが、顔はミイラみたいな顔なのに体はムチムチのナイスバディ。
しかも歩く時は妙に『モデル歩き』っぽい歩き方をするので、あまりのミスマッチ具合に、その姿を観ているだけで笑いがこみ上げてきます。
アイスクイーンの弱さと相まって、途中からは『頑張れアイスクイーン!!』と応援しながら観てましたよ。
映画本編の中身に関しては、もともとTV映画だとは思うのですが、特撮とかはショボいながらも『低予算をなんとか工夫で乗り切ろう』としてる感じの作りで、比較的頑張ってるかな?と言った所。
お話の方は、一言で言うと『女って恐いね!!』みたいな感じの内容な訳ですが、登場人物のキャラ作りなんかもなかなか良く出来ており、話のテンポなんかも結構良くて、観てて途中でダレるような内容でも無いので、サクっと観る分にはまあ良い作品なんじゃないでしょうか?
総評としましては、決して出来が良い作品ではない物の最初からバカ映画と理解して観る分には、ツッコミどころ満載でそれなりに楽しめる映画だと思います。
パッケージで『騙された!!』と感じるかどうかも大きなポイントかと思われますが、まあB級ホラー(特にアルバトロス・コアの映画)に関しては『騙される事も一種の楽しみ…』っぽい部分もありますので…(笑)
アイスクイーンの無意味なセクシーっぷりとヘタレっぷりに興味がある人は、試しに観てみても良いかもしれません。
とりあえず、笑う分にはなかなか良い映画だと思いますよ。