■■■「ポゼッション」■■■
(心霊サスペンス/40点)
古くから歴史を持つ名門校であるヘルスタッド高校で、99周年目の創立記念日にレベッカという名前の一人の少女が屋上の時計塔から飛び降り自殺を遂げる。
それから1年後、100周年記念パーティを目前に控え、女学生のサラはレポートのテーマとして、100年前にヘルスタッド高校で起こった惨殺事件と『湖の幽霊』として未だに生徒たちの間で恐れられる殺人鬼について調査をはじめる。
しかし調査を進めて行くうちにサラは、100年前の惨殺事件の真相の裏に現在もこの学校を陰から支配する大富豪のワイン一族が関わりを持っている事を知り、今回のレベッカの飛び降り自殺事件との奇妙な類似点を発見する。
そんな折、娘を溺愛するあまりに暴力的な性向を持つレベッカの父親が精神病院から脱走。
サラは何者かがレベッカの父親を学校に招き寄せて、レベッカの自殺の原因を作ったワイン一族に復讐を目論んでいるのではないかと疑いを抱くが…
「ポゼッション」というと、サスペンスとかホラーが好きな人ならば、真っ先にイザベル・ アジャーニ主演の傑作(?)変態サスペンスホラー映画を思い出すと思いますが、それとは微塵も関係ないスウェーデン産の心霊風味(?)サスペンス映画。
パッケージだけ見ると心霊ホラーっぽい印象を受けますが、実際の内容の方はどちらかと言うと割と普通のスラッシャーホラー風味の正統派サスペンス映画といった感じのお話です。
ストーリー的には、『100年前に起こった惨殺事件の原因を調べていくうちに、1年前に起こった女生徒の自殺事件との関連性が浮かび上がり…』といった感じの展開なのですが…
100年前の事件と現在の事件がオーバーラップして語られるため、とにかく矢鱈と登場人物が多く、そしてその人物を繋ぐための設定が多く、伏線もムチャクチャ多い!!
ハッキリ言って、映画の尺に対して過剰なまでに伏線が仕込まれています。
確かに、登場人物の背景や設定を細かく作りこんであるのは良いですし、伏線を張り巡らせるのも良いです。
それに付いてイロイロと推測しているうちにストーリーが進んでいくため、テンポ良く作品を見られる事は良い事だと思いますし、サスペンスの前振りとしては悪く無いのですが…
キャラとキャラの人間関係や、キャラの背景を描くための伏線はムチャクチャ多いのに、犯人推理へと繋がるような謎解きの為の手がかりが全然出てこないため、ラストで真犯人と動機やトリックを説明されても、あまりにも唐突で意外性で驚くよりも『何じゃそりゃ!?』と言う気分になるばかり…
もったいぶって説明された100年前の事件も本編とは殆ど関係無いですし、精神病院から逃げ出したレベッカの父親も『だから何なのよ?』って感じの扱いですし…
部分部分での演出や見せ方は悪く無くて途中までは結構面白いのですが、伏線の消化の仕方がお粗末で、あまりにもオチでガックリな謎解きにハッキリ言ってしおしおな気分。
これはどう考えても、最初の脚本そのものに問題があるだろう…としか言い様がありません。
心霊風味も蛇足的な印象しか受けませんし、あんなに伏線を張り巡らせて凝った設定を作るなら、オチもそれに見合ったハッタリを効かせれば良かったのに…
総評としましては…まあ、途中まではソレなりに楽しめるサスペンス映画なんですが、正直言ってオチで台無しな作品です。
伏線や設定は良く出来ているのですが、逆に伏線に凝ってるが故にオチの唐突さが鼻に付いてしまうという所もあるんですが…
『サスペンスの謎解きが矢鱈と唐突でも構わない』という寛容な心の持ち主なら、まあ観ても良いかもしれませんが、個人的には『コレはどうかなぁ?』って感じの映画でしたよ…