NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「2001人の狂宴」(55点/ゴアホラー:ゴア映画好きならオススメ)

イメージ 1

■■■「2001人の狂宴」■■■
(ゴアホラー/55点:ゴア映画好きならオススメ)

 春休みに友人たちと車でアメリカ南部への旅行に出かけたリー達は、深夜に山道で道に迷ってしまい、奇妙な裏道から、人口2001人の小さな街・プレザントシティーへと辿り着く。
 街は、まさにフェスティバルを翌日に控えており、偶然にも通りかかった彼らと黒人バイカー達は、街のゲストとして住人から歓待を受ける事になる。

 しかし翌日になると、彼らの仲間の2人が行方不明になっており、街の住人達の態度も妙に挙動不審な態度が目立つ…
 実はこの街の住人達こそは、南北戦争北軍に虐殺された人々の怨念から北部の人間を血祭りに上げようと目論む『2001人の狂人』の集まりだったのだ。

 やがて、フェスティバルの余興として一人づつ殺されていく若者達。
 果たして彼らは、この呪われた街から無事に脱出する事が出来るのだろうか?


 カルト的な人気を誇るゴアホラー映画である、ハーシェル・ゴードン・ルイス監督の2000人の狂人正統なリメイク作品。

 本作ってリメイクの割にあまり話題にもなって無かったのと、レンタルショップでもひっそりと展示されていた為、てっきり単なる『似たようなタイトルのなんちゃって続編』なのかと思っていたのですが、本家のちゃんとしたリメイク作品なのだと知ってちょっと驚きました。

 まあ、オリジナルの2000人の狂人が、そもそもあまり有名な作品でもないので、話題にならないのも致し方なしですが…

 映画のストーリーや内容は、リメイク故にオリジナル版と同様というか…オリジナル版がストーリーとか内容とか殆ど無いも同然の映画なので、リメイクである本作にも深いストーリーなんて有りようもありません。

 逆に、そもそも『殺しまくるのが主目的』な映画だけあって、殺し方のバリエーションは豊富で…

 『お尻から鉄の串で串刺し』やら『馬に引かせて八つ裂き』やら『巨大な石で押し潰し』やらといった具合に様々なパターンに渡り、オリジナルの雰囲気を踏襲しつつもアレンジを効かせて見せ方を変えてるのは、なかなか面白い所。

 また、本作はB級といいつつもそれなりにお金はかかってる作品で、特撮のレベルもそう低くも無いため、残虐描写に関しては『ゴア演出が好きな人ならば十分満足できるレベル』の完成度と言えるでしょう。

 ただ時代の進歩故か、逆に映像も演出も特撮もオリジナルに比べると随分と洗練されてしまった故に、オリジナルに感じられたような胡散臭さは無く、集団の狂気を感じさせる演出も弱くなってしまっているのは辛い所。

 オリジナル版の街の住人の素人臭さや、しつこいぐらいに繰り返される呑気なカントリーミュージックに合わせて行われる虐殺やらといった、なんともいかがわしさの漂う雰囲気が、オリジナル版を『カルト作品』たらしめてる部分だと思うので、そういった部分が感じられなくなってしまっているのは勿体無い。

 しかし、洗練された事によって良くなっている点もあって、特に主演である町長役のロバート・イングランド(「エルム街の悪夢」のフレディ役の俳優)のカッコよさは必見。
 相変わらずのオーバーアクションを交えた濃い演技が光りますね、最期の対決のシーンなんかは、悪役だと判りながらもロバート・イングランドを本気で応援しちゃいましたよ。

 ちなみに本作はキャビン・フィーバーイーライ・ロス監督のプロデュースとの事で、成る程ソツのない完成度にも納得ですが、逆にこの監督の作品ってソツが無いんだけど『もう一歩、突き抜けた何か』に欠ける部分があるというのも事実なんですよね。
 もう少し、趣味に走るなりして『やり過ぎかな?』というぐらいまで思い切った映画を撮るようになってくれれば、良いホラー映画監督になると思うので、今後に期待したい所です。

 総評としましては、若干不満点もあるながらも、なかなかどうしてB級ホラーとしては十分な及第点を与えられる作品だと思います。

 『可も無く不可も無いホラー映画』というとややネガティブな印象になりますが、B級ホラーなんてのは『不可』の方が圧倒的に多いのですから、これだけの完成度なら十分に観る価値ありですし、リメイクとしてもこのレベルならOKでしょう。

 特にゴア映画としては、逆にここまでキチンと作られている作品は少ないですし、残虐描写とかも相当キツ目(実際、レンタルビデオ屋では『18禁』扱いになってた)なので、その手のゴア映画が好きな人ならばとりあえず観ておいても損は無い一本ですね。