NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「変態村」(55点/変態ホラー:一部の人(?)にオススメ)

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■■■「変態村」■■■
(55点/変態ホラー:一部の人(?)にオススメ)

 売れないシンガーのマルクは、ある日のクリスマスに老人ホームでの慰問ライブの後、次のライブ会場である南仏へと車で移動を開始する。

 しかし折からの濃霧の中で道を見失った彼は、激しい雨の降りしきる森の中で道に迷った上に車が故障してしまい立ち往生していた所、偶然に通りかかった『飼い犬を探していた男性』の案内によって地図にも載っていないような寂れた山間の村へと辿り着く。

 彼は村で宿屋を経営していた初老の男性バルテルによって車の修理が終わるまでの宿を借りる事とするが、バルテルが言うには『村の住民と会ってはならない、彼らは我々とは違う…』という不気味な警告を聞かされるのだった…


 欧州の映画祭で公開され、観客を騒然とさせたという変態チックなサイコホラー映画。

 この映画、欧州で話題になっているとの噂を聞いた時から観てみたいと思っていたのですが、それにしても『いくらなんでも「変態村」って邦題は無いだろう?』とか思っていたのですが…

 いやいや、映画本編を観れば納得です…確かにコレは「変態村」としか喩えようが無いようなお話です!!

 『とある旅行者がサイコな住人の住む山間の寂れた村に迷い込む』という設定から、最初はてっきり悪魔のいけにえとか2000人の狂人の欧州版かと思ってたのですが、その実態は「変態版・ミザリー(いや、「ミザリー」も十分変態的なんですがベクトルが違うというか…)とでも言うような感じ?

 とりあえず、映画の感想を簡潔に一言で表現するならば…

 キモッ!!、キモッ!!
 っていうか、超キモッッッ!!

 残虐描写とかそういうのは殆ど無いんですが、登場人物がとにかくキモくて、ひたすらキッツイ内容(どう『キツい』のかを余り書きすぎるとネタバレになってしまうので敢えて書きませんが…)なんですよ。

 欧州のホラーとかサスペンスって、時々『訳わかんないけどキッツい内容だなぁ…』と思う作品(「ポゼッション」とか「ファニーゲーム」とか)がありますが、典型的なアレ系の怖さを持った作品で…
 なんというか、ハリウッドホラー的な『ドライな怖さ』ではない、欧州映画系の『得体の知れない不条理な怖さ』がテンコ盛りな感じ…

 変態的と言っても、『インモラル』なんてキレイな響きでは済まされない押しも押されぬ『変態チック』な展開に、中盤からは本気でゲッソリしてしまいましたよ。

 ただ、先程から『キモイ』を連発していますが、内容的にもキモイだけに終始してる作品かと言うとそうでもなく、不条理的な狂気から生じる怖さは当然ながら、その『狂気の中にどことなく芸術的な美しさや物悲しさを感じさせる』という、非常に欧州映画らしい部分が上手く働いており…

 ハッキリ言ってかなり救いの無い映画なんですが、観終わった後にどことない寂静感を感じさせる物があって、あまり不快な気分やヘコんだ気分にならないのは不思議な感覚でありながらも『上手いな』と感じたところでした。

 総評としましては、個人的には『結構良いんじゃない?』とは思うのですが、あまりにも『変態の度が過ぎる作品』なので、この映画をあまり推すと私まで変態チックな趣味に思われそうで、ちょっとオススメするには抵抗があるかも…(笑)

 『悪趣味映画や変態映画もドンと来い!!』という奇特な人なら一見の価値はある作品だと思うので、自分のホラーの許容範囲にある程度自信がある人ならば、とりあえず観ておいて損は無い作品でしょう。

 一発ネタ的作品のインパクという点では、かなりの物がありましたので…

 ちなみに、本作のDVDには映像特典として同監督が撮った短編ホラーである「ワンダフル・ラブ」という作品が収録されてるのですが、コチラも相当変態チックでキモい映画ですので、本作を観た場合はコチラもお見逃しなく。

 なんというか、この監督は『変態映画監督』という事で今後の作品に期待が持たれる事になりそうですね…