■■■「デス・トランス」■■■
(55点/伝奇アクション)
争いの続く戦乱の時代、何十人もの僧兵によって守護された東願寺に賊が侵入し、全ての僧兵が倒された後に一つの『棺』が強奪される。
その『棺』は、蓋を開いた者の願いを何でもかなえると言われており、棺を盗み出した謎の男のウワサは、尾鰭を付けて人々の間へと瞬く間に広まっていった。
棺を盗み出した男の名はグレイヴ。
彼の叶えたい望みは、ただ一つ『自分よりも強い相手と戦いたい』という目的のみ!!
しかし、棺のウワサを聞きつけたならず者達や僧兵の生き残りがグレイヴの後を追って、執拗に彼を付け狙ってくるのだった…
「VERSUS」で日本のアクション映画と和製ゾンビ映画の新境地を切り拓いた、下村勇二監督によるSF時代劇風の伝奇アクション映画。
本作は一言で言うと、いや何と言うか…良くも悪くも『内容の無い映画』ですね。
日本映画とは思えない程の『ド派手な演出』や『完成度の高いアクションシーン』が売りの本作なのですが…
本編の中身は、全体の尺の半分ぐらいの時間はホントに『戦ってるだけ』で、ひたすらにアクションシーンの連続といった感じの内容のため、ストーリーを重視する人は辛いかもしれませんし、ストーリーを重視しない人でも途中でちょっと飽きちゃうかも?
ただ、映像の面白さとアクションシーンの完成度に関しては、現行の日本映画で最強レベルと言ってしまっても、あながち間違いでは無いでしょう。
主人公を含めて登場する敵が、一応「時代劇」っぽい世界観なのに、時代考証とか設定とか全く無視でマンガチックにハチャメチャな所も笑えます。
「ベルセルク」のガッツばりの『巨大な肉切り包丁』を携えた盗賊や、カポエラ使いの忍者、マグナムとバズーカを扱う侍…等々、ありえない設定のバカキャラが大量に登場するのですが、そういったキャラが単なる『一発ネタキャラ』に到るまで非常に丁寧に作られて描かれてるのが面白いです。
とにかく、アクションシーンやドラマシーンも含めて『絵的な面白さ』に徹底して作られており、ストーリーとな気にしないでも『漫然と観てるだけでも楽しい』という…
ぶっちゃけた言い方をしてしまうなら『物凄く豪華なバカ映画』と言った所ですね。
…が、個人的に残念だったのは、『バカ度に関しては「VERSUS」の方がイキオイがあったかなぁ?』って事でしょうか。
「VERSUS」は内容がホラーだけあって、ホントに『バイオレンスもバカもやりたい放題』って感じでしたが、「VERSUS」に比べると幾分マトモな話な為に、ちょっと大人しくなってしまったのかも?
(いや、「VERSUSU」と比べると『相対的にマトモ』なだけで、一般的な基準で『マトモな映画』では無いですが…(笑))
どうせバカに徹するなら、もうちょっとハチ切れて欲しかったです。
総評としましては、色んな意味でイキオイだけはある映画ですので、『何でもいいから、イキオイのある映画を観てスカっと楽しみたい!!』って人にはオススメ出来る一本でしょう。
マンガやアニメのパロディ的なノリが多いので、そういったノリが好きな人も観ておいて損は無いと思いますよ。
色んな意味で非常にマンガチックというか『日本のオタク』っぽいノリで、良きに付け悪しきにつけ、このノリは海外じゃ作れんだろうな…と思わせる作品でしたよ。