■■■「日本以外全部沈没」■■■
(40点/コメディ)
2011年、アメリカ大陸を大規模な地殻変動が襲い、たった一週間でアメリカ大陸は水没。
その後、中国、ユーラシア大陸、アフリカ大陸、オーストラリア大陸…を次々と同様の地殻変動が遅い、日本以外の世界中の全ての国家は水没するという大災害に見舞われる。
事実上『世界唯一の国家』となり諸外国からの大量の難民を受け入れる事になった日本は、物資や食料の不足から物価は暴騰、失業率も急上昇し大混乱に陥る。
しかし、まさに『世界の中心』となった日本人達は、その閉鎖的な選民思想からのうのうと生活を送っていた…
話題の大ヒットSFパニック映画である「日本沈没」…をパロディ化したブラックユーモア満載のコメディ映画。
原作は、小松左京氏の「日本沈没」にインスパイアされて、星新一氏が考案し筒井康隆氏によって執筆された同名の短編パロディ小説をベースとした作品です。
監督は河崎実…といっても、普通の人はあまり名前を聞いた事すら無いと思いますが、「いかレスラー」やら「コアラ課長」といったインディーズ特撮映画を撮った監督で、特撮ファンならば「地球防衛少女イコちゃん」の監督と言えばピンと来る人も多いかも?
まあ、基本的に低予算のオバカ映画をよく撮ってる監督さんですね。
本作もいかにも低予算といった感じのB級ノリの作品で、もちろん「日本沈没」のような深刻さやスペクタクルは全く無く、徹底したブラックユーモアとオバカなノリを中心に作られています。
もともと原作者の筒井康隆といえば、正統派のSF以外にブラックユーモアの作品でも有名な作家さんな事もあり、日本社会や人種差別に対する風刺や、日本人の閉鎖的な島国根性や選民思想をコケにしたブラックなノリのセンスはなかなか笑わせてくれます。
また、73年版の「日本沈没」の主演である村野武範と藤岡弘が出演していたり、ハリウッドスターのエセソックリさん(あんまり似てない)が出演したりと、なにかと小技が効いてるあたりもパロディとしては面白いです。
ただ、中盤辺りから河崎実監督のワルノリがやや暴走気味の感があって、あまりにも過激なネタやパロディが連発。
徹底的にブラックなネタが好きな人には良いかもしれませんが、日本人でもちょっと引いちゃうようなネタがやたらと多いのは流石にどうなんだろう?って感じ…
(つっても、「サウスパーク」とか程は過激でもヤバくも無いんですが…)
もしこの映画を、反日感情の強い諸外国人とかに見せたらマジギレされて国際問題にならないかと、ちょっと心配になるぐらいです。
って、こんなドマイナーな映画は外人は観ないですか? そうですか?
総評としましては、オバカネタのパロディ映画が好きな人ならば、普通に結構楽しめる作品ではあると思います。
ブラックなネタが非常に多いため観る人を若干選びそうなタイトルですが、「サウスパーク」とかのヤバ目のノリが好きならば、とりあえず観ておいて損は無いでしょう。
マジメなパロディ(?)として観るにはどうかと思うような作品ですが、しょーもないネタ映画を求めてる人は、これ以上は無いぐらいに『しょーもない映画』ですので、是非どうぞ。