NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「地獄の変異」(60点/モンスターパニック)

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■■■「地獄の変異」■■■
(60点/モンスターパニック)

 ルーマニアカルパチア山脈の奥深くに長年に渡り地崩れによって封印されてきた地底洞窟が発見される。
 その洞窟は約145kmにも及ぶ巨大な水の流れと地底湖を持ち、さながら『地底のアマゾン河』とでも呼べるような、とほうもない規模のものだった。

 洞窟の発見者であるニコライ博士は、地底湖探索のプロフェッショナルと、生物学者、カメラマンからなる探検チームを結成、この歴史的な発見を成功させようと洞窟への潜入を開始する。

 しかしその洞窟は、かつて『テンプル騎士団』によって悪魔が封印されたという恐るべき怪物の潜む場所だったのだ…



 『いかにもB級!!』って感じの「スイスペ」の某探検隊風の予告編やらが話題を呼んだ、洞窟探検をモチーフとしたモンスターパニックホラー映画。

 『洞窟探検ホラー』というと、どうしても「ディセント」と比較したくなってしまいますが…
 「ディセント」がサスペンス調のノリをベースとした作品だったのに対して、本作は『秘境探検物』って感じのノリが強くて、かなり雰囲気の違う作品で、登場するのも『地球最大規模の超巨大地下水脈』という事もあって、とにかくスケールがデカい。

 シーンも『巨大地底ホール』やら『巨大地底湖』やらと非常に開けたロケーションが多く、洞窟探検特有の緊張感や閉塞感は感じられず、むしろ『謎の生物の生息する未知の惑星』を探検してるようなノリですね。
 『洞窟探検』よりは『地底世界探検』とでも言う方が相応しいようなノリなので、閉鎖環境によるパニックや緊張感溢れる展開を期待してると、ちょっと肩透かしを食らうかも…

 まあ、エンターテイメントとしてモンスターパニック映画を描くなら、これぐらい割り切った作りでも悪くは無いかな?

 で、肝心の内容はというと…
 本家サイトで公開されている予告編が、「スイスペ」の某探検隊ノリのパロディになってるので、もっとベタベタのB級的なノリを期待してたんですが、本編の方は、そこまでベタベタのB級ノリの映画じゃなくって、良くも悪くも『キチンと作られたモンスターホラー映画』という印象。

 特撮や撮影なんかも非常に気合が入っており、B級どころか『A-(マイナス)級』程度のランクの映画と言っても良いかも?

 この『うさん臭い予告』が面白そうで気になっていたのに、至極まっとうな展開のシーンが多く、B級ホラーとしての悪ノリが殆ど感じられなかったのは残念な所。
 つか、『完成度が高くて逆にガッカリ』ってのも、ちょっと変な話ですが…

 せっかく『超巨大洞窟』『謎の生物群』という、非常に面白いシチュエーションを設定してるんだから、もっとキワモノ的な展開があっても良かったかなぁ?

 物語のテンポも良く洞窟探検シーンも気合が入っているので、観てて『ごく普通に面白い作品』ではあるのですが、モンスターの出番が意外と少なく、全体に緊張感が薄いのは勿体無い所ですね。

 ラスト付近のモンスターの襲撃シーンなんかは、非常にスピード感があって面白かったので、ああいった感じの見せ場が要所要所にあれば、もっとエンターテイメントとしても面白くなっただろうに…と感じる部分があるのが、非常に惜しい作品だと言えるでしょう。


 総評としましては、やや『普通過ぎる』感はありますが、普通のモンスター映画として観た場合は、完成度は結構高い作品だと思います。

 タイトル(邦題)や予告のイロモノっぷりから、そっち方面に期待して観るとちょっと肩透かしを食らうかもしれませんが、純粋な『モンスターパニックホラー』としては久々の快作とも言えるタイトルなので、そういうジャンルの映画が好きならば、観ておいても損は無いでしょう。