NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「DRIFT ドリフト」(60点/サスペンス)

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■■■「DRIFT ドリフト」■■■
(60点/サスペンス)

 西アフリカのセネガルの港町に仕事で立ち寄ったカメラマンのサラは、仕事帰りにダイビングでも楽しもうと地元のダイビングツアーに参加する。

 彼女を含む参加者の6名は小船で沖合いへと乗り出すが、そこで偶然にも海の真ん中を漂流している刺殺死体を発見。
 しかし、その直後に彼らのボートは事故で沈没してしまい、期せずして全員で外洋を漂流する事となってしまう。

 焦燥感に囚われつつもなんとかして陸地まで戻ろうとする彼らだが、そんな彼らの側に古びた貨物船が通りかかり、彼らは『これで助かった』と狂喜する。

 しかし、そんな彼らが目にしたのは『怪しげなフードを被った船員が、貨物船の乗員の一人を惨殺し海へと投げ捨てる』という恐るべき現場だった…。


 「DRIFT ドリフト」とかってタイトルを聞くと、一瞬『何処のレース映画だ?』とか思いますが、その実態は峠を攻めたりする路上レースとは何の関係も無いスペイン製の海洋サスペンスドラマです。

 まあ「DRIFT」ってのはもともと『漂流する』って意味の言葉なので、別に驚く事は無いんですが、どうせなら「ドリフト~漂流~」とかって邦題にでもすれば分かりやすくて良いでしょうに…
 もしビデオ屋『背表紙だけ』とか見たら、絶対にサスペンスと気付かずに借りてなかったですよ。

 さて、そんな『微妙なタイトル』のうえに『微妙なパッケージ』で見るからにイマイチっぽい本作なんですが、内容の方はなかなかどうして…意外と良く出来たサスペンス映画だったりします。

 本作を観てて『これは面白い』と感じた点は、とにかく『先の展開が全く読めない』って事。

 序盤の『海の真ん中で死体を見つけた後に漂流する事になる』って辺りで一瞬「オープンウォーター」のパクリ?とか思ったら、『偶然、発見した船で人殺しの現場を目撃してしまう』という、イキナリの相当な予想外の展開に加えて、その後もとにかく先の読めない展開の連続。

 常に『この先、どうなるんだ!?』という疑問詞がつきまとうような展開と、ラストの数分までホントに『結末がどうなるのか予想できない』という、上手い引っ張り方をする構成のおかげで、最後まで非常に集中して観る事が出来ました。

 ただ、『先の読めない展開』という点でのストーリーの組み立ては非常に上手いと思ったのですが、『物語の盛り上げ方』という点ではイマイチ不満が残る内容なのも事実。

 特に、序盤がホントに『意外な展開』で物語に引き込まれるのに対して、中盤の展開がやや盛り上がりに欠けるせいでイマイチ緊張感が持続しない事が残念な所。

 ラストの付近の展開とかは結構熱い感じに盛り上がったりするので、序盤やラスト程度の盛り上がりのポイントがあと何箇所か用意されてれば…

 また、主人公を含む登場人物の『キャラクターの個性の描き方』が少々甘くて、主人公達のモチベーションの持ち方がイマイチ理解できない部分が多くて、作品に感情移入しきれない部分があったのも勿体無い所ですね。

 その辺が改善されれば結構な傑作になったと思うので、少々惜しい感じの作品と言えるでしょう。


 総評としましては、小粒な出来栄えながらもごく普通に楽しむ事が出来る、『B級サスペンスの良作』と言って良いレベルの作品だと思います。

 ただしサスペンスと言いつつも『謎解き』とかの要素はあまりなくて、どっちかというと『ライトな海洋冒険ドラマ』みたいなノリが強い部分があるので、『B級でも良いので手軽に冒険ドラマ感覚を味わいたい』という人にはオススメな一本だと言えるでしょう。