NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ディープ・レスキュー」(50点/パニックサスペンス)

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■■■「ディープ・レスキュー」■■■
(50点/パニックサスペンス)

 人工衛星の打ち上げの為に周回軌道へ向けて発射されたスペースシャトルディスカバリー号が、ロケットブースターの故障により太平洋のド真ん中へと墜落する。

 水深70mの海底に不時着したシャトルの乗員達は、酸素不足と水圧による圧壊のタイムリミットが迫るなか、なんとかして地上へと連絡を取り脱出の方法を模索するが、彼らが生き延びる為には苦渋に満ちた決断を迫られる事となるのだった…


 スペースシャトルが海底に不時着』という設定を描いた、航空機パニック映画。

 航空機が海の真ん中に墜落というと往年のパニック映画ファンなら「エアポート’72」とかを思い出すところですが、本作もノリ的には概ねそんな感じのお話で実際に本編の中でも「エアポート’72」のタイトルが出てきたりと、結構オマージュを受けている部分が感じられる作品です。

 そもそもスペースシャトルが深海に落下して水圧とかは平気なの?』とか思って観てたんですが、キチンとシャトル内部を加圧して水圧に対抗する(その代わりに、そのせいで酸素不足が発生する)とかって措置を取ったりと、何気にその辺の設定がシッカリと作られててちょっとビックリ。


 映画の内容は、いわゆる『時間制限つきの脱出パニック』というパニック映画ではオーソドックスな展開ですが、狭いシャトル内部で描かれるパニックは非常に閉塞感が強く感じられてなかなかに緊張感があります。

 ただ、非常に乗員が少なく舞台も狭いスペースシャトルだけでは、流石に90分間の尺を持たせる事は困難だった事もあってか、半分ぐらいはパニックとは余り関係のない『主人公とヒロインの愛憎劇』みたいなものが描かれてたりするんですが…

 ぶっちゃけこの部分が少々退屈で、パニック映画としてのテンポを悪くしており、冗長な印象を受ける作品となってしまっているのは勿体無い気がします。

 あと本編全体に妙に、登場人物たちに『何かウラがありそう』サスペンス映画的な空気が流れているんですが、何か凄いオチや意外な展開でもあるのかと思いきや、匂わせるだけ匂わせておいて『何のコレといったオチも無い』という、やたらと唐突でアッサリした結末は何なの?

 まあ、低予算故に『舞台をスペーシュシャトルの内部のみにせざるを得なかった』という理由から、緊張感を持続させる為にサスペンス的要素を持たせたのでしょうが、変に『気を持たせすぎ』なノリのせいで『オチでのガッカリ感』が生まれてしまっている気がするので、中途半端に『サスペンス風味』を入れすぎたのは逆に失敗だったかも?


 総評としましては、話そのものはツマんなくは無いレベルだとは思うんですが、全体的に地味な映画という印象は拭えない作品ですね。

 特にスペースシャトルの墜落』という派手な設定の割に、映画の内容がやたらと地味なのには、人によっては期待のレベルに対して肩透かしを感じさせられて、ちょっとガッカリするかも?

 思いの他にシッカリと作られた設定やストーリーライン適度な緊張感は、なんとなく『短編のハードSF小説』を読んだような気分にさせられる作品ですので、そういったノリが好きな人ならどうぞ。