■■■「unknown アンノウン」■■■
(65点/ミステリー)
5人の男たちが、窓に鉄格子がはまり扉がロックされた倉庫に監禁された状況で目を覚ます。
現場には争ったような形跡があり、2人の男性は拘束され1人が胸を撃たれて重傷を負っていたが、彼らは何らかの事故の影響で一時的な記憶喪失に陥っており、自分が何者なのかすら思い出せない状況だった。
現場にあった『血の付いたショベル』や『撃ち殺された警備員の死体』、そして『大会社の社長と会計士が誘拐された』という新聞記事等から、自分達のうち『3人が犯人の一味』で『2人は誘拐された人質』では無いかと推測した彼らは、疑心暗鬼に陥りながらも倉庫から脱出する方法を探り始めるが…
最近は食傷気味のジャンルですが、いわゆる「SAW」系の奇抜で謎だらけの設定をウリにしたソリッドシチュエーションスリラー映画。
つっても、別に「SAW」みたいにホラーっぽいテイストや息の詰まるような緊張感がある訳では無く、むしろ正統派ミステリーといった感じの謎解きプロセスを楽しむ映画です。
物語が完全に『手がかりゼロ』の状態からスタートして、劇中に少しづつ散りばめられた手がかりと徐々に明かされていく真実を元に、全ての謎が筋道に沿ってスパッと一本に繋がっていくという展開は非常に良く出来ています。
本作は特に、この『ストーリーを予測する為の手がかり』の与え方が非常にバランスよく配分されており、『謎が簡単すぎてアッサリ結末が予測』できてしまったり『手がかりが少なすぎて訳ワカメな展開』になったりする事が無く、ミステリー好きならば途中でダレる事無く最期まで謎解きを楽しめるって点は、なかなか見事。
ただ、謎解きのプロセスは確かに面白いんですが、本作の謎解きって特にコレと言った意外な展開とかが無く、『ああやっぱ、そういう展開か?』というノリで驚きや目新しさは感じないのが残念な所ですね。
そういう意味では、良く言えば割と『手堅い作りの作品』で悪く言えば『新味の無い作品』とも言えるかも?
まあでも普通に面白いのは面白いと感じた作品だったので、全体的に悪くは無い作品だとは思います。
ややネタバレになりますが…むしろ一番最期のシーンの『取って付けたような、ちょっとしたドンデン返し』は、ぶっちゃけ必要なかったんじゃ?
(あのシーンのおかげで、微妙に『なんのこっちゃ?』って感じの終わり方になってる気が…)
総評としましては、ミステリー映画としてはごく普通に楽しめるレベルのなかなか面白い作品だと思います。
タイトルやパッケージから、もっと尖がった作品のようなイメージを描いていたのですが、割と普通な内容で、普通にドキドキハラハラはするものの少なくとも『うなじの毛がチリチリするような緊張感』とかとは無縁の映画でした。
まあ、逆に言えば非常に手堅く観れる作品ではありますので、普通にミステリーが好きなら観ておいて損は無い作品だと言えるので、特に2時間ドラマのサスペンスものとかが好きな人にはオススメの一本でしょう。