■■■その12『自宅購入の顛末』■■■
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自宅購入の資金を確保し意気揚々と西の街「アンヴィル」に向かった俺様は、宿屋に居た『自分の家を売りたい』というヴェニラスと名乗る貴族っぽいオッサンに5,000ゴールドを渡して、自宅の権利書と鍵を受け取った。
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家の中は、しばらく人が住んでいないらしく内装は荒れ果てていたが、まあこの程度ならリフォームでもすれば問題ないだろう。
とまれ自宅が出来たという事で、荷物置き場が出来たのは、とりあえず一安心である。
入口の近くのクローゼットにスグには使う予定の無さそうな魂石(魔法の石)やら、魔力の切れた魔法武器やらの荷物を放り込んで身軽になった俺様は、ひとまず屋敷の中を調べてみる事とする。
5,000ゴールドで買ったとはいえ屋敷の中は意外と広く、何か無いかとウロウロとしていたら2階にベッドを発見したので、ひとまず休憩する事としたのだが…
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俺様がベッドで寝ていると、ウワサどおりに出やがった。
ゴーストどもが、ご丁寧に全部で3匹。
ゴーストどもが、ご丁寧に全部で3匹。
しかし、勇者である俺様はこの程度では同様する事は無い。
そもそも、ゴースト如きが怖いようでは、魔界に殴りこみをかけてゲートを閉じたりは出来ないのだ。
そもそも、ゴースト如きが怖いようでは、魔界に殴りこみをかけてゲートを閉じたりは出来ないのだ。
ここはサクっとゴーストどもを返り討ちにして、『さてコレで一安心』かと思いきや、翌日に外出から帰宅してみると、またしてもゴースト軍団が手厚くお出迎えである。
確かに、最初は『こんな広い家に一人で住むのは寂しいかな?』とは思ったが、こんな同居人はあまり歓迎したくないものだ。
そうは思いつつも、『レベルを上げあぐねている「破壊(攻撃)魔法」の訓練にちょうどいいかな?』とも思って、最初は帰ってくる度にゴーストを殲滅していたのだが…
何とかは『1匹いたら20匹は居ると思え』って訳では無いが、流石に帰ってくる度にコレでは鬱陶しすぎる。
この手の連中は、やはり『元から絶たなきゃダメ』なのだ。
この手の連中は、やはり『元から絶たなきゃダメ』なのだ。
そもそも、家に帰ってくる度にゴーストが大量に沸いているようでは、リフォーム業者も呼べやしない。
それよりも何よりも、荒れ果てた家の中は照明器具が乏しくて非常に薄暗いため『ウチの中で、たいまつを装備しないとならない』のが面倒すぎるのである。
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どうやら、奴らは地下にある『魔法陣』が描かれた『秘密の扉』らしき場所から無尽蔵に沸いてきているようだ。
コレではまるでの「悪魔の棲む家」ではないか、不良物件どころか『生きた都市伝説』だ…
しかも、この扉がどうやらヴェニラスの一族の人間じゃ無ければ開けれないらしく、元を絶とうにも俺様の力だけではどうにもならない。
俺様に家を売りつけたオッサンの消息を聞くに、どうやら帝都に向かったらしいとの事なので、仕方なしに俺様も遠路はるばる帝都まで赴く事に…
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自宅に戻るのを渋る貴族のオッサンを無理矢理引き連れて、とりあえず地下室まで来て封印された『秘密の扉』を開けて貰う。
扉を開けると、オッサンは後は頼んだとばかりにスゴスゴと帰って行った。
まあ下手に付いて来られて、オッサンの護衛をさせられるよりはマシだろう…
まあ下手に付いて来られて、オッサンの護衛をさせられるよりはマシだろう…
地下室の奥には怪しげな祭壇があり、貴族の祖父らしき人物がリッチ(死霊魔術師)となり果てて襲い掛かって来やがった。
まったくもって、一族そろって迷惑な事だ…
まったくもって、一族そろって迷惑な事だ…
リッチはスケルトン・ガーディアンを召還して俺に闘いを挑んできたが、残念ながら召還術では俺様の方が一枚上手だったようで、スキャンプを召還してコイツを返り討ち。
特に問題なくリッチを撃破した俺は、こうして念願の平和な我が家を手に入れたのだった。
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しかし、我が家がリフォームされてから不思議な事がある。
もしかしたら、何処かの誰かがコッソリ自宅に侵入して密かに補充していってるんだろうか?
ソレはソレで、幽霊よりも何だか恐ろしい話である…
ソレはソレで、幽霊よりも何だか恐ろしい話である…
(その13に続く…?)