■■■その17『九大神の祠めぐりの旅』■■■
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先日の試し斬りの結果、『オリジナル防具』の追加効果は非常に使えるものの、自分の作れる『オリジナル武器』の能力に限界を感じた俺は、ふと「アンヴィル」で教会の人間が惨殺された後で出会ったイカれた預言者が…
『九大神の祠を巡礼して回ると「伝説の武器」への手がかりが得られる』みたいな事を言っていた事を思い出した。
そんな訳で、ゴブリンどもにボコられてパワーアップの必要性を感じていた俺様は、とりもなおさず「伝説の武器」を手に入れるべく「九大神の祠」を巡礼する為の行脚を開始する事とする。
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流石に既にLv.30に到達してパワーアップ甚だしい現状では、森の中で普通にエンカウントする動物ごときは全く相手にならない。
とりあえずオーガが若干苦戦する程度で、他の連中は剣の訓練にもならない(つっても、ゴブリン軍団に絡まれるとピンチだが)ので、いっそ『格闘スキル』を鍛えるべく出会うクマやらオオカミやらを『ひたすら素手で殴り倒す』という、撲殺行脚の旅を敢行。
コレで俺様も名実共に『熊殺し』の格闘家だぜ。
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世界を行脚していると、各地で色んな物を発見した。
なんか、鳥も通わぬ世界の果てみたいな恐ろしい程の辺境の地に「オブリビオンゲート」が発生していたりしたんだが、「クヴァッチ」みたいな都市部ならともかく、あんな辺鄙な場所を侵略して何をしようというのか?
レアな植物の多い地域だから、夏休みの宿題に植物採集でもしようと言うのか?
魔界の連中の考える事はイマイチ良く分からない…
魔界の連中の考える事はイマイチ良く分からない…
また、万年雪の残る高山の頂上付近で倒れている人が居たので、一体何者かと思って死体を調べて見たら…
『お父様が高い場所が好きなのは存じておりますが、いつも階段から足を踏み外すので心配でなりません。』
みたいな内容の書かれた、娘からの手紙を持っていた。
高い所が好きなのは納得だが、それにしてもこんな『ドラゴンでも足を踏み外せば滑落死しそうな場所』に来るのはチャレンジャーにも程があるだろう…
なんというか、『人生いろいろって言うこっちゃー!!』という感じである。
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そんなこんなで、全国の「九大神の祠」を巡り終える頃にはスッカリ格闘のスキルが上がり、みるみる逞しい体になり、ついでに「召還」のスキルも遂にLv.100という達人レベルまで上達。
どうやら、この世界ではスキルがLv.100まで上達すると、呪文を唱える際の魔力の消費量が半分で済むようになるらしく、コレで「ドレモラ・ロード」やら「嵐の精霊」やらの凶悪モンスターが呼び放題である。
あまりに凶悪すぎて、街中とかでうっかり殴って怒らせると『大惨事に発展する』ので要注意だ。
(コスト「400」の魔法とかの存在意義がようやく理解できたぜ…だが、「霊峰の指」のコスト「3500」はやはり意味不明だが。)
(コスト「400」の魔法とかの存在意義がようやく理解できたぜ…だが、「霊峰の指」のコスト「3500」はやはり意味不明だが。)
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さて、巡礼を終えて『聖騎士の亡霊』と遭遇した俺は、伝説の武器である「聖戦士の武器&防具」シリーズの手がかりを得れるという『聖騎士団の聖堂』の場所を突き止めた。
聖堂に入ると、8人の『聖騎士達の亡霊』が盛大にお出迎えで…
新たな伝説を刻む事となる俺様を歓迎してくれるのかと思いきや、『聖戦士の武器を手に入れたければ自分たちと戦ってその実力を示せ』と言う。
まあ、ある程度は予想してた展開ではあるわな…タダより安いものは無いという事だ。
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聖騎士の亡霊どもは、流石に騎士らしく正々堂々と一対一の『一騎打ち』を挑んできた。
しかし俺様としては、そんな古めかしい『騎士道精神』に付き合う義理は無い事だし、ならず者流の『叩けるときは徹底的に叩き潰せ』というポリシーに忠実に、召還した「ドレモラ・ロード」先生にご協力願う事とする。
かくして、フィールドの熊やオオカミ同様に『聖騎士の亡霊』どもを素手で叩きのめした(この亡霊どもは何故か亡霊のクセに素手の攻撃が効くのだ)俺様は、8人の騎士達から「聖戦士シリーズ」の眠る場所を無事に聞き出す事に成功した。
コレで伝説の武器のゲットへと一歩近づいた訳だ…
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さて「伝説の武器」の所在を聞いた俺様だったが、出立する前にもうちょっと手がかりを得られないかと何気なく聖騎士の亡霊ども話しかけてみると…
『闘技場でのグレイ・プリンスとの試合を観たよ、スゴかったね!!』
みたいな事を滅茶苦茶フランクに話しかけられて、ちょっとビビッた。
っていうか、ウソつけ!!
お前らみたいな目立つ観客が居たら、流石に俺様でも気付くわ!!
つか、街中が大パニックだわ!!
つか、街中が大パニックだわ!!
しかし、こいつら亡霊って割に素手での攻撃も普通に当たるし、実は『半透明(ステルス)っぽく見える服』を着た変人の集団だったりせんだろうなぁ?
などと、これから「聖戦士の武器」を探す旅に出立しようというのに、なんとなく先行きに不安な物を感じつつ教会を後にする俺様だった…
(その18に続く…?)