■■■「パリ・ディストラクション」■■■
(55点/生物パニック)
ストライキの影響でゴミの収集がストップしたパリの街では、街中に溢れかえった生ゴミの影響からネズミが大量発生していた。
パリの病院に勤める女医のローレンスは、相次いで病院に運び込まれる原因不明の「髄膜炎」の患者に疑問を抱き新種のウィルスの存在を疑い始めるが、そんな中、彼女は患者達が数日前に『ネズミに噛まれた』という共通点を持っている事に気付く。
彼女は市の議員に対してこれを警告するが、おりしも街では数週間ぶりでのゴミの回収を終え、エサを無くしたネズミ達が地上へと溢れかえろうとしていたのだった…
大量発生したネズミによってもたらされる伝染病の恐怖を描いた、フランス製の生物パニック映画。
一昔前はネズミが登場する生物パニック映画というと『大量のネズミが人間を襲う』という『大群もの』が多かったですが、時代の変化とともに『ウィルス』等の生物/化学兵器に対する危機感が強まってきたせいか、そういうネタが多くなりましたねぇ…
本作もどちらかというと、そういったタイプのいわゆる『ウィルスもの』の作品ですね。
たまには久々に「ウィラード」とかみたいな、純粋な『大群もの』のネズミの登場するホラー映画も観て見たいところです…。
まあ、ソレはさておき…
この手のB級映画の邦題にいちいちツッコミを入れるのも何なのですが、本作が『ウィルスもの』という事から分かるように、「ディストラクション」とかってタイトルに付いているものの、別にパリが破壊される訳ではなくジャケットのようなシーンは何処にもありません。
内容の方は、いわゆる『サスペンス風味の生物パニック映画』といった感じで、謎のウィルスとネズミの関係を追いながらストーリーが展開する…といった感じのお話で、主人公である女医の人間ドラマを中心に物語が進むようなノリなので、あまりパニック色も強くありません。
…が、生物パニック映画としての盛り上がりはイマイチながらも、『映画そのものがツマんないか?』というとそうでもなくて、ドラマ部分のお話そのものが割とシッカリと作られているので、内容の地味さの割に意外なほどに面白く『普通に楽しめてしまう作品』ですね。
主人公周りのキャラの立て方も非常に上手く、特に物語のキーとなる『ヒロインの娘』がなんとも可愛くて良い感じです。
メインのストーリーである『謎解きのプロセス』もあまり捻りは無いものの、むしろ『王道的な展開』といった感じで悪くはありません。
でも、本編の途中で意味ありげに登場した『リーダー格のネズミ』が、終盤では完全に忘れられてて『話に全く絡んでこなかった』のは、ちょっと残念だったかな?
せっかくそういう設定を作ったんだから、どっかで活かして欲しかった。
ただ本作を観終わった後に、DVDに『この映画の予告編』が入っていたので改めて観て見たんですが…
本編の内容が、予告編で『結末まで余す事無く語られてしまっている』のは、流石にいかがなものかと?
つかコレじゃ、ぶsっちゃけ『予告編を観た人は本編を観なくてもいい』ような気が…
総評としましては、コレという程にプッシュする部分は無いものの、非常にソツなく堅調に作られた生物パニック映画といった感じの作品です。
内容に派手さを求めると少々辛いですが、ごく普通に映画として楽しむ分には十分に面白い作品だと思いますので、同ジャンルが好きな人なら観ておいて損は無い一本だと思います。
もともとが向こうのTV映画だけに、TV放映とかでサクっと観るとちょうど良さそうな感じのタイトルですね。