■■■「リーピング」■■■
(65点/オカルトホラー:オススメ)
ルイジアナ大学で教授を務めるキャサリンは、昔は敬虔なキリスト教徒だったが、過去にスーダンの難民キャンプでの奉仕活動の最中に狂信者に娘と夫を惨殺された事から、信仰を捨てて『まがい物の奇跡』を科学的に暴く為の研究やフィールドワークを行っていた。
そんなある日、彼女の元にアメリカ南部のヘイブンという片田舎の街で『川が血の色に染まる』という現象が発生し、地元民の間で「聖書(出エジプト記)」の「10の災い」では無いかと騒ぎになっているから、調査して欲しいとの依頼が舞い込んでくる。
最初は依頼を受けるのを嫌がった彼女だったが、『災い』の元凶として1人の『12歳の少女』が血祭りに上げられようとしていると知った事から、少女に殺された自分の娘の姿を重ねた彼女は、その依頼を引き受ける事とするが…
聖書(出エジプト記)に記された『10の災い』と悪魔崇拝の恐怖を描いたオカルトホラー映画。
「リーピング(跳躍)」というタイトルやパッケージを見ると、一瞬『イナゴ少女』の出てくるホラー映画かと思いますが、内容の方はさもりありなん。
かなりシッカリと作られた、「聖書」と「反キリスト」を題材とした本格的なオカルトホラー映画です。
「オーメン」のリメイクも鳴かず飛ばずでパッとしなかったので、『聖書を題材としたホラーってのも流行らない時代なのかな…』と思っていたのですが、いやいやマダマダこのジャンルも捨てたものじゃありませんな。
と言っても、題材となっているのが「出エジプト記」の「10の災い」とかって言うと、一瞬なんの事やら分かり難いですが「黙示録」の「10の災い」と言うとピンと来る人が多いかな?
いわゆる、『河が毒の水になる』とか『火の雨が降る』とかのアレですね。
この「10の災い」を軸としてお話が進行していくのですが、次々と起こる「災い」を追いかけていくサスペンス含みのスピーディな展開や、先の展開の読めない一筋縄では行かないストーリーも面白いです。
ただ中盤が『地味な災い』が多い為にちょっと冗長な感じもありますが、タイトルにもなっている『イナゴの群れ』の出現を起点とする終盤は、『畳み掛けるような急展開』とスペクタクルシーンの連続で、それまでの不満を吹き飛ばすようなパワフルさは一見の価値アリ!!
オチの付け方も非常に上手いですし、本作はそこまで話題には成っていないながらも『観た人間の評価は総じて高かった』ので期待していたのですが、しっかりと期待に沿えるだけの質の高い作品でした。
総評としましては、『大ヒット』とまでは言わないものの『オカルト系のホラー映画』としては『近年でも屈指の完成度』と言って良いレベルの作品だと思います。
この所はソッチ系の作品は微妙なタイトルか多かったですが、「聖書」とか「反キリスト」とかの題材が好きな人になら間違いなくオススメ出来るので、オカルト好きな人なら間違いなく観ておいて損は無いでしょう。
少なくとも『シリーズやリメイクではないオリジナル系のホラー』としては非常に良く出来た、久々にかなり満足の行く作品でしたよ。